消防設備はなぜ必要?不動産投資物件における違反リスクと対策を解説

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消防設備の設置や整備、維持管理を怠れば罰金や懲役の罰則を受けるだけでなく、火災が発生すれば投資物件を失い多額の賠償金を請求される可能性もあります

そこで今回は消防設備がなぜ必要かの理由と、違反リスクや対策を徹底的に解説します。

併せて具体的な設備や点検、報告についてや改修費用の相場についてもお伝えしているので、ぜひ投資物件のリスク回避のために役立ててください。

 

消防設備の義務ができた背景

多数の人が出入りする対象物での火災発生防止と被害軽減を目的として、消防法による消防設備の設置義務が昭和36年に制定されました。

ところが昭和40年代後半に100人超の犠牲者を生むデパート火災が立て続けに発生し、消防設備の管理不足で故障や不具合が放置され、火災発生時に使用できなかったことが被害を大きくしたことが判明しました

これを機に消防設備を設置するだけでなく点検と報告を義務付ける制度が昭和50年に定められ、所有者や管理者に厳格にその維持管理責任が求められるようになりました

消防設備は利用者の生命や財産を守るために非常に重要なものであり、動産投資においても建物を提供する所有者として、一番に優先して整えるべき設備と捉えてください

 

消防法を守らないリスク

令和元年の消防庁の発行した「消防用設備等の点検報告制度について」における設備点検等報告率によると、1,000㎡以上(マンションで言うと15戸程度以上)の報告義務のある対象建物での点検報告率は2018年で71.8%となっており、多くの所有者の方が整備をしていることがわかります。

しかし消防庁は報告をしていない約3割の改善に力を入れており、平成28年度には59%の建物に立入り調査を行った消防本部の事例を紹介しながら、様々な施策を打つことを明言しています。

設備が不十分や、報告をしていない建物を所有していると、今後厳しい指導等を受ける可能性が高いと言えるでしょう。

さらに以下では消防設備をしっかりと維持していなかった場合の、具体的なリスクをご紹介します。

 

懲役や罰金

消防法で定められた消防設備を備えていなかったり、点検や報告の義務を怠たっていたりすると違法行為として罰せられることになります。

ここでは主な違反に対しての罰則を一部ご紹介しますが、厳罰も設けられていることから求められる責任の重さと違反することの罪の重さが伺えます

実際には管理会社任せで意図せず違反となってしまうケースも多いため、不意の罰金支払いなどとならないよう所有物件の設備状態や、点検報告の実施がされているかをしっかりと確かめておきましょう。

第4条第1項 資料提出命令に従わなかった場合、報告を求められても報告しなかった場合 30万円以下の罰金・拘留
第5条第1項 防火対象物に対する措置命令(改修・移転・除去等)に従わなかった場合 2年以下の懲役・200万円以下の罰金
両罰:1億円以下の罰金
第5条の2第1項 防火対象物に対する措置命令(使用禁止・停止・制限等)に従わなかった場合 3年以下の懲役・300万円以下の罰金
第8条第3項 防災管理者選任命令に従わなかった場合 6月以下の懲役・50万円以下の罰金
第17条の4第1項又は第2項 消防用設備等又は特殊消防用設備等の設置命令に従わなかった場合 設置命令違反1年以下の懲役・100万円以下の罰金
両罰:3,000万円以下の罰金
消防用設備等又は特殊消防用設備等の維持命令に従わなかった場合 維持命令違反30万円以下の罰金・拘留
第4条第1項 資料提出命令に従わなかった場合、報告を求められても報告しなかった場合 30万円以下の罰金・拘留

 

火災保険が下りない

所有物件で万一火災が発生した際に、消防設備が設置されていなかったり管理不足で機能しなかったりが原因で被害が大きくなると、火災保険が下りないことが考えられます

損害保険では所有者の過失による被害部分は補償を減免することがあり、まして違法な建物であれば補償自体を行なわない可能性も高いです

また建物の防火設備の状態が不十分なことを知っていながら加入したなら、保険契約を解除されることも考えられます。

保険金が下りなければ火災によって建物を失うだけでなく、借入があれば負債だけが残ることもあるでしょう。

消防設備の不備は、リスク回避としての保険の役割が失われることも十分に認識しておいてください。

 

被害者からの損害賠償

もし消防設備の不備や管理不足により火災が発生し、負傷者や死亡者などの被害があったなら、莫大な損害賠償を所有者や管理者が負う可能性があります

過去の損害賠償請求裁判でもこの消防設備が、きちんと整備されていたかが判決の分かれ目になっているからです。

設置されていないのは論外ですが、故障したままや周りに荷物が置かれすぐに使えないような状態で放置していたなら、その責任を厳しく問われることになります。

被害の規模によっては一生罪を償うことになるかも知れず、火災が起きてから後悔しても遅いでしょう。

被害者を出さないのは当然として自身の一生を棒に振らないためにも消防設備が機能するようしっかりと整備するべきでしょう。

 

物件価値の下落

最低限必要である消防設備がしっかり整備されていない物件は、入居者の目から見ると非常に不安を覚えるものです

誘導灯が切れていたり、非常警報設備が破損したりしていれば、建物の印象は非常に悪くなり、万一の場合に身の危険を感じる物件になるでしょう。

そのような物件は自然と退去者が増え、新たな入居者が集まりにくく、空室が増えていつの間にか物件価値が下落していくことになります

ご自身の予算配分でそうされているなら承知の事かもしれませんが、もし管理会社に任せきりなら投資物件としては非常に危険です

築年数が古く最近原状を見ていない所有物件で空室が増えているようであれば、ぜひ消防設備の状態を確かめてみてください。

 

対策として行うべき主な点検と報告

消防設備の点検は有資格者によって行なわれることが消防法で定められ、6ヶ月に1回外観上の劣化、損傷の有無や簡易動作での確認を行う機器点検と、実際に稼働させ故障や機能の不備が無いかを確認する総合点検に分かれます。

そしてこの点検結果を特定防火対象物なら1年に1回、非特定防火対象物なら3年に1回、該当する消防長か消防署長に報告をしなければなりません。

特に特定防火対象物は設備の設置条件が厳しく、しかも防火管理者の選任状況や消火、避難訓練の実施状況などの年1回の報告も義務付けられるなど、より厳格な維持管理が求められています。

共同住宅のみであれば非特定防火対象物となるケースが多いですが、飲食店などの店舗を併設している物件は特定防火対象物となり得るため特に注意が必要です

以下の記事にてその区分けや点検、報告について詳しく解説をしていますのでぜひお読み頂き、所有される物件の行うべき内容を把握してください。

■不動産投資物件の消防法を徹底検証!違法設備による罰則を防ごう

http://fudosan-archi.com/2020/05/05/real-estate-investment-property/

 

費用相場

不具合のある消防設備の改修や交換を行う参考に、主な設備の費用相場をご紹介します。

それぞれ1台あるいは1箇所の費用になっていますので、所有物件の設置数を確かめ計算してください。

また下記の相場は管理会社のマージンは含んでいないため注意をしてください。

消防設備 費用相場
消火器設置 0.5〜1.5万円
自動火災報知設備交換 3〜5万円
   〃    受信システム交換 10〜30万円
非常警報設備交換 3〜6万円
誘導灯交換 3〜7万円
避難はしご交換 7〜15万円
ベランダハッチ 13〜20万円
届出、検査立会費 5〜7万円

 

コスト削減には依頼先選定が重要

消防設備の改修や交換はコストがかかりますが、その費用削減の鍵を握るのが点検や維持管理を行う設備業者の選定です。

物件が遠隔地であったり消防法の設備条件の理解が難しかったりなどで、管理会社任せにしてしまう所有者の方も多いですが、マージンが上乗せになり割高な費用となっているのが現実です

可能であれば管理会社経由の改修は一つの選択肢と考え、他の防災設備業者の見積もりを取り比較をした上で依頼することをお勧めします

また残念ながら管理会社経由で消防設備の改修や維持管理をしている業者の中には、十分な点検や動作確認を行わず、業者変えをしてみたらその手抜きが発見されたというケースも少なからず存在します。

管理会社経由は手間がかからず多忙な投資家の方には手軽な方法ですが、コスト削減と確実な点検実施のためにも、一度他業者の話しを聞いてみることをお勧めします。

 

まとめ

消防設備を整えることは、入居者や利用者の生命、財産を守るのはもちろん、投資物件の価値を維持し、罰金や損害賠償による損失を避けることにも繋がるため、決して軽視をしてはいけません。

また点検や改修などを管理会社に任せきりにするのではなく、一度は他の設備業者の提案を受けることもコスト削減のためには有効でしょう

建物の安定的な運営のためにも、ぜひ消防設備をしっかりと維持管理してください。

 

【記事監修】 山田 博保

株式会社アーキバンク代表取締役/一級建築士
建築業界での経験を活かした不動産コンサルティング及び建築、不動産に関わるWEBメディアを複数運営。Facebookお友達申請大歓迎です。その他、建築や不動産、ビジネスモデル構築に関するコンテンツは公式サイトより。

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