不動産投資の賃貸物件の建築費の坪単価適正価格と注意すべき追加費用

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不動産投資の賃貸物件で、建築費の坪単価の適正価格を十分に理解している投資初心者の方は少ないと思います。実際に見積りを見る機会も少なく、さらに坪単価以外にかかる追加費用も多いからです。

そこで今回は賃貸物件の建築費における坪単価の適正価格と、注意しておきたい追加費用について詳しくお伝えします。

併せて坪単価に影響する建築の注意点や適正価格かどうか判断するポイントなどもお伝えしていますので、ぜひ最後までお読みください。

 

賃貸物件の坪単価の適正価格

賃貸物件の坪単価の適正価格

賃貸物件の建物タイプとそれぞれの工法における、坪単価の適正価格をお伝えすると以下のようになります。建物の工法とは建築する際の骨組み構造の違いであり、それぞれに特徴もあります。

・アパート

工法 坪単価相場 特徴
木造 60万円前後 価格が抑えめで利回りが良い
軽量鉄骨 70万円前後 工期が短く収益発生が早い

・マンション

工法 坪単価相場 特徴
鉄筋コンクリート造 100万円前後 価格と性能のバランスが良い
鉄骨鉄筋コンクリート造 120万円前後 強度が高く高層向き
鉄骨造 90万円前後 価格が抑えめで低層向き

 価格に加えそれぞれの工法については下の記事で詳細に解説していますので、合わせて目を通してみてください。

賃貸マンションで不動産投資!建築費の適正価格と抑える方法

http://fudosan-archi.com/2020/10/20/reasonable-price-for-construction-costs/

不動産投資の賃貸アパート建築費!適正価格と安く抑える4つの方法

http://fudosan-archi.com/2020/09/23/reasonable-price-and-low-price/

 

坪単価に影響するポイントを確認

建築する上で坪単価に影響する代表的なポイントを紹介します。これらを知った上で建築するかしないかによって利回りに大きな差がため、十分に把握してからプランニングすることをお勧めします。

 

部屋タイプ

部屋タイプ

賃貸物件の部屋タイプには、主に単身者が住むワンルームタイプと家族が住むファミリータイプがあります。

同じ面積の建物ならワンルームタイプの方が一部屋あたりの面積が小さいため部屋数が多くとれます。しかしキッチンや浴室など費用のかかる設備が多くなるため、トータルの建築費は高額になります。

ファミリータイプは一部屋の面積が広いため同じ建物面積でも部屋数が少なめで、設備費も少なく済むためワンルームタイプより建築費は安くなります。

ただし建築費の高い安いだけでなく、建築場所ではどちらの部屋タイプの需要が高いかしっかりリサーチした上で選ぶことが大切です。

たとえファミリータイプで建築費が抑えられたとしても、需要が少なく空室が多ければ当然収益は落ち込みます。

一方で人口が多く賃貸需要も高い都心では単身者向けワンルームが有利で、建築費がかかったとしても家賃収入が多く得られる可能性があり費用対効果が高くなります。

部屋タイプは建築費に大きく影響しますが、建築場所での重要もしっかり見極めた上で選ぶようにしましょう。

 

設備のグレード

設備のグレード

各部屋に設置する設備のグレードも建築費に大きな影響を及ぼします。

キッチンや浴室、洗面化粧台、トイレ、エアコン、給湯器などが費用のかかる主な設備で、グレードによる差額が部屋の数だけ積み重なれば大きな金額になります。

キッチンは上位グレードと標準グレードの金額差が大きく、さらにキッチンメーカーによっては標準グレードのさらに下に廉価版グレードを用意しているところもあり、積極的に採用することで建築費削減ができます。

グレードを下げたとしても必要な機能は十分に備えており国内メーカー製であれば耐久性に大きな問題はなく、価格差は表面の仕上げや追加機能の差であるため入居者に大きな不便をかける心配はありません。

設備を選ぶ際には建築業者の提案だけでなく、価格を抑えたグレードもないか確認し検討することをお勧めします。

 

物件規模

物件規模

建物規模が大きくなれば建築費の総額は高めになりますが、坪単価で見るとむしろ規模が大きいほど割安になります。

たとえば電気や水道の引き込みなどの基幹工事は建物規模の大小に関わらず同じような金額がかかり、さらに建築費の中でも金額のかかる基礎や屋根は2階建てでも5階建てでも同じ面積で費用も変わりません。

このため階数が多く規模の大きい建物ほど1坪あたりの単価は減っていくのです。

もちろん規模が大きくなれば建物総額は増えるため用意する初期費用は必要になりますが、部屋数が多く家賃収入も増えるため利回りはむしろ良くなることが期待できます。

建築規模は費用に大きな影響を与えますが、必ずしも抑えた方が有利にるとは限らない点は注意しておきましょう。

 

建築の依頼先

建築の依頼先

建築の主要な依頼先であるハウスメーカーと地域の建築会社では、建築費と建物の特徴が異なります。

ハウスメーカーは手掛ける建物数の多さを生かして建築資材を大量発注し、大幅なコストダウンを実現しています。

プランも規格化することで打ち合わせの手間などを減らし、工事も画一化とマニュアル化が進んでいるため人件費も大きく削減できています。

このため建築費を抑えるのであればハウスメーカーに依頼した方が非常に有利です。

地域の建築会社はハウスメーカーのようにスケールメリットでのコストダウンは難しいですが、細かな注文や他にない独自性のある建築に応えられるといった特徴があります。

ハウスメーカーはプランや設備の規格化でコストダウンしているため、そこから外れる工事をしようとすると割高で不可能な場合もあります。

しかし地域の建築会社の規格は最小限で、柔軟な建築が可能なため他にはない差別化しやすい物件を建てられます。

建築費はどうしても高めなため十分な需要が見込めるかしっかりリサーチする必要はありますが、個性的な物件で攻めの賃貸運営をするならお勧めの依頼先です。

2つの特徴をしっかり理解した上で、予算とのバランスを見ながら依頼先を選ぶようにしてください。

 

注意すべき坪単価以外の追加費用

賃貸物件の建築では、坪単価以外にかかる追加費用を早い段階で把握することが大切です。

場合によっては1,000万円を超える額もあり得るため、坪単価だけを目安に計画してしまうと完全な予算不足に陥ります。

まずは追加費用にどのような項目があるか確かめ、漏れがないように見積りを手配するようにしましょう。

 

付帯工事

付帯工事

追加費用の中でも特に高額になるのが付帯工事です。

付帯工事とは建物本体以外に行う工事で、ライフラインなど人が生活する上で必要なものや安全性、快適性を加える工事です。

主な付帯工事は以下の通りです。

・水道給排水

・ガス工事

・電気引込工事

・地盤改良工事

・解体工事

・整地工事

・駐車場工事

・外構工事(アプローチや植栽など)

・サイクルポート

・消火設備

※依頼先によっては坪単価に含まれる工事もあります。

一般的に付帯工事は建築費の20%程度ですが、敷地や建物条件によって大きく異なることもあるため、現地を調査実測してもらった上で見積もることが重要です。

 

諸費用

諸費用

諸費用とは工事とは別に申請やさまざまな手続きで必要になる費用です。

建築費全体に占める割合としては10%程度が一般的で、付帯工事ほど高額ではありませんが確実にかかる費用ですので資金計画にしっかりと組み込んでおきましょう。

また借入先によりますが、手持ち金で用意することが多いという点も注意が必要です。

主な諸費用は以下の通りです。

・測量費用

・地盤調査費用

・契約書印紙代

・設計料

・水道負担金

・火災保険料

・建物登記費用

・不動産取得税

・融資手数料

・保証料

・抵当権設定費用

・入居者募集費用

付帯工事と諸費用のそれぞれの項目については以下の記事で詳しくお伝えしていますので、ぜひ目を通し十分に理解することをお勧めします。

不動産投資で賃貸物件の建築費相場と内訳を知り高利回りを実現する

http://fudosan-archi.com/?s=%E5%86%85%E8%A8%B3

 

適正価格か判断するポイント

大まかな建築費の坪単価相場や追加費用の項目を理解したら、実際に見積りを取るステップに進みます。その際に見積りの建築費が適正価格か判断するためのポイントを解説します。

 

複数社で比較する

複数社で比較する

まず大前提が依頼する建築会社を複数社で比較することです。前述した坪単価相場は1つの目安であり、建築する地域や土地条件、建物の仕様、プランなどによって大きく変化することがあります。

そのため計画している物件の実際の相場を知るには、複数の建築会社から見積りを取り比べることで把握できます。

これにより割高な建築費の会社に依頼してしまうことを防ぎ、複数社を検討していることを相手に知らせればより良い条件を引き出すことも期待できます。

初心者の方はあまり相手を増やすと混乱してしまうため2〜3社程度が妥当ですが、できる限り複数社を検討し適正な価格の相手を選ぶようにしましょう。

 

高額な場合は理由を聞く

高額な場合は理由を聞く

見積りが割高な場合は必ずその理由を建築会社に聞くようにしましょう。単純に割高な会社だという場合もありますが、より良い工事を行うために必要な費用の可能性もあるからです。

特に大半の項目の金額が他社と変わらないのに、特定の工事だけ高い場合はその建築会社なりの理由があると考えられます。

建築に不慣れな方は総額にばかり目を向けがちですが、こうして1項目ずつ比較することが適正な価格か判断するためにはとても重要です。

逆に金額が極端に安い項目があれば工事内容が違っていたり漏れていたりする可能性があり、高額な建築を任せる相手として能力が不十分と判断することもできます。

実際の見積りは部材名や設備名などが詳細に記されているため、不慣れな方は判断に迷うかもしれません。その場合は第三者の建築事務所やコンサルタントに相談し、工事項目をチェックしてもらうのも良いでしょう。

見積りの総額が高い安いだけで判断せず、手間がかかっても内容をしっかりと確認し適正価格か判断するようにしてください。

 

値下げの余地はあるか

値下げの余地はあるか

それぞれの見積り項目を十分に理解したら、その後各社に値下げの余地はないか必ず打診しましょう。

これは値引きを要求するのではなく、設備やプランを変えることで価格を抑える選択肢がないか確認するためです。

コストダウンプランが可能なら建築計画の幅が広がり、適正価格だと思っていたプランもよりさらに高い利回りで賃貸運営ができることになります。

値下げするその他の方法や注意点は以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にご覧になってください。

不動産投資で賃貸物件の建築費を値下げするプランのポイントと交渉術

http://fudosan-archi.com/2021/02/03/how-to-reduce-the-price/

 

費用をかけておくべき部分

建築費を抑えることは投資の利回りを高める上で有効ですが、闇雲にコストを落としてしまうと逆効果になる可能性もあります。

あくまで投資であることを考えると、できる限り費用をかけておくべき3つのポイントがあります。

 

都心は費用対効果が大きい

都心は費用対効果が大きい

都心で賃貸物件を建築しようとすると、その他の地域に比べ割高になります。人件費や運搬費が高く、しかも狭小地が多いために工事車両や資材置き場などで費用がかかり、建物が高層になれば足場代や高所作業費がかさむなど多くの面で都心ゆえの追加費用があるからです。

実際に建築費は他の地域に比べ1〜2割多くなることもあり、初期費用を抑えたい投資初心者の中には都心での建築を躊躇する方もいます。

ただし都心は賃貸需要が非常に高く、賃料も落ちにくいという大きなメリットがあります。

コロナウイルスの感染拡大以降で景気の悪化が懸念される中でも都心の賃料は緩やかに上がり続けており、この需要の強さを見ると多少建築費が割高でも投資する価値は十分にあると考えられます。

いくら割安に建築費が済んでも入居者が十分に集まらなければ投資が失敗するリスクが高まります。都心は多少建築費が高めでも費用対効果が大きい投資先と言えるでしょう。

 

耐久性に関わる部分

耐久性に関わる部分

建物の耐久性に関わる部分はしっかり費用をかけておくべきです。安価で耐久性に劣る材料を使うと早い時期に補修費がかかってしまい、結局は初めに良い材料を使うのと同じかそれ以上の出費になる恐れがあるからです。

たとえば外壁塗装は価格と耐久性が比例しており、極端に安いものを使えば10年持たずに外見がひどく汚れ防水性も失われます。

再塗装をするとなれば足場や防水の補修工事も必要になるなど、最初に耐久性の高い塗料を使った以上の出費が必要となります。

また万一雨漏りが発生すれば建物内の修繕もすることになり、非常に高額な費用がかかるでしょう。

逆に十分な耐久性を持った塗料を使えば10年以上補修工事が不要になり、物件の売却時期によっては所有している間は再塗装がかからずに済むかもしれません。

他にも屋根や共用部のエントランス、階段、廊下なども、デザインは簡素でも耐久性の高い物を使えば建築後に予想外の修繕費が発生するのを抑えられます。

建築は耐久性に関わる部分にしっかり費用をかけた方が、最終的には安く済むことを理解しておきましょう。

 

運営開始後の諸経費に注意

運営開始後の諸経費に注意

賃貸運営を開始すると毎年さまざまな諸費用がかかり、物件の利回りに少なからず影響を与えます。諸費用には主に以下のようなものがあります。

・火災保険料

・固定資産税

・都市計画税

・入居者募集費

・管理委託費

・建物修繕費

この中で非常に高額になる可能性があるのが建物修繕費で、たとえ耐久性の高いものを使っても長く運営を続けていくと思わぬ損傷が発生し費用の捻出を迫られる場合があります。

安定して賃貸物件の不動産投資をするのであれば、この建物修繕費を資金計画に盛り込み早い時期から積立ておくことが大切です。

建物が完成しても管理会社に全てお任せにするのではなく、建物状態を定期的に確かめながら資金を備えるようにしましょう。

 

まとめ

まとめ

賃貸物件を建築する際は坪単価の適正価格を把握し、さらに追加費用もしっかりと理解しておくようにしましょう。

部屋タイプや設備のグレードなど建築費に影響が大きい部分は、建築エリアの需要をしっかり確かめ適切なものを選ぶことで適正価格にすることができます。

見積りを取る際は必ず複数社に依頼し、比較しながらコストダウンプランも提案してもらうようにすると、投資計画に最適な価格が見えてくるでしょう。

ただし闇雲にコストを削るだけでなく需要のある都心での建築や耐久性のある材料を使うなど、かけるべき部分にはしっかり投資することも重要です。

本当の意味での適正価格を見極め、長期的な視点で利回りの高い建築を目指すようにしてください。

【記事監修】 山田 博保

株式会社アーキバンク代表取締役/一級建築士
建築業界での経験を活かした不動産コンサルティング及び建築、不動産に関わるWEBメディアを複数運営。Facebookお友達申請大歓迎です。その他、建築や不動産、ビジネスモデル構築に関するコンテンツは公式サイトより。

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