不動産投資物件の屋上防水工事!種類別に適正価格を徹底解説

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不動産投資物件において屋上防水工事の適正な価格を把握しておかないと、無駄な損失を引き起こす可能性があります。

また、価格だけでなく防水方法の種類や耐用年数について誤った認識をしてしまうと、投資物件の価値を大きく落とすことになりかねません。

そこで、今回は不動産投資物件における屋上防水工事の適正価格と、防水方法や見積もりのチェック項目について詳しく解説をしたいと思います。

また屋上防水工事の投資戦略上でのポジションや、適切な業者選びについても解説をしていますので、投資物件の価値を維持するために、ぜひ役立てていただきたいと思います。

 

屋上防水工事を行わないリスク

屋上防水工事を行わないリスク

まず投資物件に屋上防水工事を行わない場合のリスクをお伝えします。

屋上防水工事とは建物屋上の床面に塗装などの防水層を作り、雨などが建物の中に侵入することを防ぐことを目的とした工事で、建築当初には必ず施工がされています。

これが防水の種類によりますが15年前後から割れやはがれを起こすようになり、さらに進行するとそこから建物内部へ雨水が入り込むことになります。

雨水が侵入して建物内部の構造材にかかってしまうと、鉄骨にはサビが、木部には腐れが発生するようになり、建物の強度を大きく損なうことになります。

また階下にある部屋へ雨漏りが発生することもあり、内装や入居者の家財にも被害を及ぼすようになるのです。

このような被害を防ぐためには、劣化が進行する前に屋上防水工事の再施工を行う必要があり、物件の維持管理において重要視されています。

物件運営で突然の出費が発生しないように、早めに再施工の手配をするようにしましょう。

 

投資上でのメリット

投資上でのメリット

屋上防水工事が再度行われると建物の修理費やトラブルを防げるだけでなく、次の3つのような投資上のメリットも生まれてきます。

1つ目は屋上の美観が回復され見た目の印象が良くなることで、売却価格を高められる可能性があります。

数字的な条件が売却価格設定の基本ですが、やはり人に売ることになるので見た目の印象も大きく作用し、投資の出口戦略にメリットをもたらします。

2つ目は屋上防水工事の実績を明示することで、売却時の問い合わせを増加させるメリットも考えられます。

見た目の印象は大きいのですが、情報サイトの画像では伝わり切らないことが多いため、情報欄に「屋上防水工事再施工済み」とすることで購入者希望者の間口を広げることができます。

3つ目は新たな入居者を集めやすくなる点です。

やはり劣化が明らかで雨漏りの恐れがあるよりも、安心できるメンテナンス工事が行われた建物の方が、入居者としては選びたくなるものです。

特に屋上直下の部屋の場合は物件によっては家賃を高く設定してあるため、より安心をアピールして入居率を高めることに貢献してくれるはずです。

これらのことからも投資面で考えても、屋上防水工事は適切なタイミングで行うことがお勧めです。

 

主な屋上防水工事の種類と適性価格

屋上防水工事では防水方法の種類により、費用はもちろん耐用年数にも大きな違いが現れます。

そこで防水方法ごとに特徴と適正価格、耐用年数の目安をお伝えしますので、どの方法を採用するか検討する材料にしてみてください。

 

塗装防水

塗装防水

各種の塗料を屋上の床に塗り、乾燥をさせて防水層を作る方法です。

塗料には主に次の4種類が用いられ、適正金額と耐用年数が異なります。

マンションや雑居ビルなどではウレタン塗装かシリコン塗装が一般的で、短期的な応急処置や費用を抑えたい場合にアクリル塗装が採用されます。

フッ素塗装はコスト面や、このあと解説する大規模改修とタイミングが合わせにくいなどの理由から、採用されるケースは少なくなっています。

適正単価/㎡ 耐用年数
アクリル塗装 4,000円〜6,000円 6年〜10年
ウレタン塗装 5,000円〜8,000円 10年〜15年
シリコン塗装 6,000円〜10,000円 15年〜20年
フッ素塗装 9,000円〜13,000円 20年〜25年

 

シート防水

シート防水

シート防水は塩ビ製の防水シートを敷き詰める方法で、耐久性が高く既存の防水方法に左右されずに施工できるメリットがあります。

前述の塗装防水では既存の防水方法によって、一度古い防水層を剥がす必要があるため工期が多くかかる可能性があります。

しかしシート防水ではその心配がなく手早く施工したい場合に適しています。

一方で厚みのあるシートをカットして敷いていくため、複雑な形状の屋上では施工が難しく継ぎ目も多くなり、経年によって剥がれや隙間が発生するリスクを持っています。

適正単価/㎡ 耐用年数
シート防水 6,000円〜10,000円 15年〜20年

 

アスファルト防水

アスファルト防水

アスファルト防水は道路や駐車場で使われるアスファルトを屋上に敷き詰める方法で、耐久性に優れ経年の損傷リスクが少ないのが特徴です。

ただし、施工後の重量が非常に重いため、耐荷重性能の高い鉄筋コンクリート造や重量鉄骨造などに限られることが多く、比較的大型の建物で採用されるのが一般的です。

また、既存の屋上床やその下の劣化状態によっても施工できないケースが出てくるため、採用は慎重に検討した方が良いでしょう。

適正単価/㎡ 耐用年数
アスファルト防水 6,000円〜10,000円 15年〜20年

※ご紹介している単価には材料だけでなく工事費も含まれますが、既存床の損傷補修や設備の移動、撤去などは含まれませんのでご注意ください。

 

付加価値の高い追加工事

付加価値の高い追加工事

屋上防水工事を行う専門業者によっては、同時に行うことができる追加工事もあり、併せて依頼をすると費用を抑えることができます。

また別々に頼むよりも打ち合わせや連絡の手間暇も減らせますので、以下にご紹介する工事も検討してみましょう。

①バルコニー床や共用廊下の再施工

各部屋のバルコニーの床や共用の廊下なども防水工事が施してあり、屋上防水工事に塗装防水を選ぶなら一緒に再施工を行うこともできます。

特に屋上と同様にバルコニーは雨や日光の影響を受けるため、劣化が進んでいることも珍しくはありません。

放置しておくとこちらも階下への雨漏りにつながりますので、必ず点検をしておきましょう。

②ドレン内の清掃

屋上にある雨水を排水する穴のドレンを点検してもらい、詰まりがあるようなら清掃をしてもらいましょう。

屋上に溜まったゴミやホコリ、土などが流れ込むため、想像以上に内部は汚れており詰まりの原因になります。

大量の雨が降ったときに排水ができなくなれば、下の構造部分や部屋に雨漏りを引き起こす恐れがあります。

③外壁塗装

屋上防水を塗装で行うなら外壁塗装も一緒に検討してみましょう。

一時的な出費は大きくなりますが別々に工事をするよりも、トータルの費用を多少抑えることができます。

また、どちらの工事も大掛かりなため、入居者への音や匂いの迷惑や駐車場の不便などを、1回で済ませることにもなります。

屋上と外壁はメンテナンス工事を行う周期も近いので、一度外壁の状態を確認してもらい見積もりを取ってみることをお勧めします。

 

塗装見積もりのチェク項目

塗装見積もりのチェク項目

ここからは実際に見積もりを取って価格を検討する際に、気をつけていただきたいポイントをご紹介します。

塗装に限りませんが建築の見積もりは作る会社によって、名称やどこまでの工事を含めるかがまちまちなため、一般の方には比較が難しいものです。

一見こちらの会社のほうが安いように見えても、追加や見積もり外のものがあり結局高くつくこともあるので注意が必要です。

代表的な見積もりのチェックすべき項目をご紹介しますので、検討する際の参考にしてください。

 

一式出しではないか

近年は少なくなってきましたが、今でもたまに見かけるのが詳しい見積もり内容が書いていない、一式出しの見積もりです。

「屋上防水工事 一式〇〇万円」という表記になっており、どのような材料を使うのか全く判らず正しく比較することができません。

またどのような作業を行うかも不明なため、手抜きをされたり不要な工事費を上乗せされたりしても、わからないことになります。

見積もりが一式出しの場合は必ず詳細を記載してもらうようにし、もしできないようであればその業者は候補から外すことを検討しても良いでしょう。

 

塗料が明記されているか

当たり前に明記されているように思えますが、建築業界では外されがちなのが実際に使う塗料の商品名です。

「シリコン塗料」と種類などだけが書いてあり、具体的な商品名や品番が書かれていないことがあります。

同じ種類の塗料でも多くの会社から発売されており、価格はもちろん特徴や耐用年数などが異なる可能性があるため、それらをしっかり把握して比較することが必要です。

 

何層塗装かわかるか

また屋上の防水塗装は通常4層程度で仕上げられるのが一般的で、下からプライマー(下地材)、通気緩衝シート(工法による)、塗料中塗り、塗料上塗り、トップコートという順の施工になります。

これも見積もりに示されていないと何層での塗装なのかわからず、正確な比較が出来ない上に手抜きをされても気づくことができません。

見積もりを確認する場合は必ず何層での塗装か、明記されているか確認するようにしましょう。

 

付帯工事も含まれているか

屋上防水工事は防水層を作るだけではなく、その前に高圧洗浄を行ったり既存の床の補修を行ったりする付帯工事があります。

しかしこれが防水工事の見積もりに含まれず、手頃な価格だと思い依頼をしたところ後から追加になってしまった、というケースがあります。

特に補修は既存の屋上の状態によっては大きな費用がかかるため、事前にきちんと把握をしておきたい項目です。

また他の見積もり項目も同様ですが、確認し回答をもらったことについては必ず次回の見積もりに記載してもらうようにしましょう。

工事のやり取りで多い「言った言わない」のトラブルへの予防策になります。

 

複数見積もりで比較する

ここまでお話しした項目は一般の方には、なじみのないことがほとんどです。

そこで見落としがないようにする最良の秘訣は、複数の業者から見積もりを取り金額だけでなく、どのような項目が記載されているか比べることです。

含まれるもの含まれないものが業者ごとで異なるため、初めは比較に苦労するかもしれませんが今後のメンテナンスでも役に立つはずです。

細部まで見積もりを比べられるようになれば、後半でご紹介する仲介業者以外の工事業者を検討できるようになり、余計な中間マージンをカットすることもできます。

見積もりは必ず複数社から取り、金額以外も比較するようにしましょう。

 

屋上防水のコストを投資戦略で考える

屋上防水のコストを投資戦略で考える

屋上防水は大きさにもよりますが、数百万円という高額な出費になることも珍しくありません。

そのため単年度の出費として考えるだけでなく、投資の大きなスパンの中で戦略を建てることが大切です。

ここでは実際にどのポイントで工事の是非を判断したら良いのか、代表的な2つのポイントをご紹介したいと思います。

 

出口戦略を考慮する

屋上防水工事と費用を考える上では、投資物件の出口戦略を考慮することが非常に重要です。

屋上防水は長期的な視点でメリットが見込めるものなので、工事をして早々に売りに出すようだと投資額を回収することができません。

そのため物件の出口戦略をどう考えているかによって、屋上防水工事を行うべきかの判断が大きく変わってきます。

もし数年のうちに売却を検討しているのなら簡易的な補修で済ませるのも一つですし、別の補修に費用をかけるという選択肢もあります。

確かに売却価格に好影響を与えてはくれますが、数百万円かかることもある費用を、完全に回収できるほどではないかもしれません。

しっかりと出口戦略として物件売却のタイミングを見通した上で、屋上防水工事の計画を立てるようにしてください。

 

大規模改修との兼ね合い

建物全体の劣化箇所をまとめて修繕をする大規模改修のタイミングも、屋上防水工事を行う上で考慮すべきポイントです。

大規模改修ではさまざまな場所の改修を行うのですが、中には外壁塗装のように屋上防水工事と業者が被ることもあり、さらに防水も大規模改修では屋上以外にも行う工事になります。

当然一括して大規模改修の中で行った方が費用の総額は抑えられますし、特に物件規模が大きいほどその費用削減効果は高まります。

また入居者への連絡や苦情などの対応も1回で済むというメリットもありますから、大規模改修に含めて行うことは前向きに考えた方がよいでしょう。

これらを含めた屋上防水工事の適切なタイミングと判断については、こちらの記事でさらに詳しく解説していますのでぜひご覧ください。

 

依頼する業者の種類と特徴

依頼する業者の種類と特徴

屋上防水工事を依頼する業者には大きく分けると3つ業種があります。

それぞれに特徴やコストの違いがあるため、十分に理解をした上で依頼先を決めるようにしましょう。

 

塗装工事業者

まず1つ目の依頼先は塗装工事業者です。

こちらは実際に職人を抱え作業を行う業者になり、この後ご紹介する2つの業種も作業はこの塗装工事業者に依頼することになります。

中間マージンを抑えられためコスト的にメリットはありますが、ご自身で工事方法などを打合せするため一定の建築知識が必要になります。

また業者の善し悪しを見極める目も必要になり、この後ご紹介する2者のように予算と範囲を伝えてあとはお任せ、という訳にはいきません。

業者にもよりますが依頼が正確に伝わっているかや、現場が順調に工事をされているかなどを自分で確認する場合もあるため、忙しい方にはコスト差以上の手間がかかる選択肢です。

逆に十分に時間や手間が賭けられる方ならコスト削減には効果的ですので、依頼先として検討してみる価値はあるでしょう。

 

改修工事会社

改修工事会社

改修工事会社とはマンション等の大型建物において、メンテナンス全般を請け負う建築会社であり、先にご説明した大規模改修なども一手に引き受けています。

防水工事はもちろん塗装工事や給排水工事、電気工事など幅広く対応できるのが特徴です。

金額としては実際に工事を行う業者との間に入るため、中間マージンがかかり割高にはなってしまいます。

ただし営業マンや監督が間を取り持って工事の打ち合わせなどをしてくれますし、日程調整や連絡もお任せにできます。

確かに中間マージンはかかりますが失敗なく確実に工事を行えるようになり、特に複数の業者が入るような工事では大変頼りになる存在となるでしょう。

 

管理会社

管理会社

所有物件の会社管理からも防水工事の提案を受けることができます。

その建物を最も熟知しているのが管理会社ですから、以前の工事履歴や現在の状況から最適な提案を受けることができます。

ただし物件の家賃管理や入居者対応に注力している管理会社では、あまりメンテナンスや工事に明るくないところもあるため、その業務内容を事前に確かめる必要があるでしょう。

また管理会社の中には先程の改修工事会社を経由して塗装工事業者へ依頼するところもあり、当然中間マージンが2重にかかることになります。

管理会社を検討する際は必ず他の業種にも見積もり依頼することをお勧めします。

 

まとめ

まとめ

投資物件における屋上防水工事は、建物や入居者への被害を防止してくれるため、ぜひ定期的に行いたいメンテナンス工事です。

ただし選ぶ防水方法によってコストや耐用年数に違いがありますので、事前にその特徴を把握し予算を立ててから選ぶことが重要です。

さらに依頼する業者によっても注意すべきポイントとコストが変わってきますので、今回ご紹介した注意点を参考にベストな選択をするようにしてください。

【記事監修】 山田 博保

株式会社アーキバンク代表取締役/一級建築士
建築業界での経験を活かした不動産コンサルティング及び建築、不動産に関わるWEBメディアを複数運営。Facebookお友達申請大歓迎です。その他、建築や不動産、ビジネスモデル構築に関するコンテンツは公式サイトより。

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