不動産投資物件の管理を賃貸管理会社に任せる場合、手数料が適正価格なのか気になる方は多いのではないでしょうか。
特に購入した仲介不動産会社からの紹介などで、比較検討せず賃貸管理会社を決めてしまった方は、相場を知らないままだと思います。
そこで今回は不動産投資物件を任せる賃貸管理会社の、手数料の適正価格とその業務内容を詳しく解説したいと思います。
適正な手数料を知れば、値段交渉をしたり他の管理会社へ切り替えたりする上で役立ちますので、ぜひ最後までお読みください。
賃貸管理手数料の適正価格
賃貸管理手数料の適正価格は家賃の5〜8%が一般的です。
ただしこの後ご紹介する、入居者対応の管理業務と建物の維持管理の両方を含むのか、それともどちらか一方なのかによって高いか安いかは変わります。
掛け率は同じでも入居者対応のみの管理会社と、入居者対応と建物の維持管理も行う管理会社があれば、当然後者の方がお得になります。
また掛け率以外の追加費用の有無も非常に大切なので、この後の解説をしっかりと把握していただくことをおすすめします。
賃貸管理とはどのような業務か
賃貸管理手数料の適正価格を知る上で、賃貸管理とはどのような業務なのかをある程度は理解しておくようにしましょう。
まず賃貸管理は次にご紹介する、入居者対応と建物維持管理という2つの大きな業務に分かれます。
入居者対応
入居者対応とは入居している方に対する、家賃や契約に関係する以下の業務のことを指します。
・家賃の集金や管理、督促
・入居者からのクレーム対応
・契約や更新の手続き
・住居・退去の立会い
・退去後の部屋のクリーニングや補修の手配
建物維持管理
建物維持管理とは建物が安全かつ快適に利用でき、将来的に劣化や破損が起きないようにメンテナンスや点検を行うことを指します。
不動産投資では中古物件を購入することも多いと思いますが、適正に建物を維持管理していないと雨漏りや手すりの破損などで、入居者に被害を与え退去さてしまうこともあります。
また外観が悪くなり賃貸を検討している方に、敬遠されて空室が埋まらないこともあるでしょう。
もちろん所有者自身で補修するタイミングと業者手配ができれば良いのですが、ある程度の建築知識がないと難しくなります。
このため賃貸管理会社に建物維持管理を依頼し、定期的な点検と必要なメンテナンスの提案を行ってもらうことが必要なとなるのです。
手数料以外の追加費用を確認する
賃貸管理会社の手数料は5〜8%とお伝えしましたが、さらに追加費用が必要となる管理会社もあります。
あまり行わない業務は追加でも良いかもしれませんが、これから紹介するような業務は比較的頻繁に発生します。
当初の手数料が低くてもその都度追加費用が発生すれば、結局は高い掛け率と同じになってしまいます。
まずはどのような業務が当初の手数料以外になりやすいのかを知っていただき、依頼を検討する管理会社ごとに確かめ比較するようにしましょう。
時間外や休日の対応費
賃貸管理会社の中には業務時間外や休日の対応は、別途費用になるところがあります。
しかも入居者からのクレーム対応や入居退去の立会いなどは、夜間や休日など一般の会社の業務時間外になりやすく、自然と追加料金になりやすく注意が必要です。
たとえ1回は小さな額でも、回数が積み重なり高額になってしまうこともあるのです。
中には表面上の手数料を安く見せるために、この時間外や休日の対応費を別にしていると思われる管理会社もあります。
もちろんこの費用も初期の手数料に含んでいる管理会社もありますので、料金が過度に増えてしまうのを避けるなら、そのような管理会社を選ぶのも良いでしょう。
家賃滞納者への督促や集金
家賃滞納者への督促や集金を、別途費用としている管理会社もあります。
特に家賃が低めの物件や単身者をターゲットとしたワンルームでは、この業務が発生しやすい傾向があり注意が必要です。
確かに督促や滞納の集金は手間や気苦労が多く別途請求になる意味も理解できますが、長期化することも多く回数が積み重なれば意外に大きな費用になります。
中には滞納したまま連絡がつかなくなる入居者もあり、家賃が回収できない場合もこの督促や集金の手数料は支払うことになる管理会社もあります。
前述の時間外休日対応とともに、必ず管理会社との契約内容を確かめておきたい項目です。
建物の点検や修理手配
賃貸管理の手数料業務の中に、建物維持管理が含まれているかどうかもしっかりと確かめておきたいところです。
しかも建物管理が含まれていても内容は普段の清掃や電球交換程度であり、点検や修理の手配は別途費用としている管理会社もあります。
逆に点検や修理の手配はもちろん中長期的な修繕計画や大規模修繕の見積もり手配まで、初期の賃貸管理の手数料に含んでいる管理業者もあります。
傾向としては安めの手数料の管理会社では建物維持管理の大部分が、別途請求となることが多いようです。
別途費用となるとつい後回しにしてしまう所有者の方もいますが、建物や入居者に被害が発生してしまえばその何倍もの出費が必要になります。
日常的な清掃などだけではなく、建物の劣化や損傷の点検、修理は安定した賃貸運営のために必要になりますので、できれば初期の手数料に含まれている管理会社がおすすめです。
管理を委託するメリット
単純に投資の利回りを高めるだけであれば管理会社に物件管理を委託しない方が有利になります。
では管理会社に物件管理を委託するとどのようなメリットがあるのか、代表的な3つのメリットをご紹介します。
本業や投資運営に集中できる
賃貸物件の運営はご紹介したようにさまざまな業務が発生し、しかも早急に対応しなければならない事態が突然発生することもあります。
それを賃貸管理会社に委託すると、副業で賃貸投資をされている所有者の方であれば、本業に集中することができます。
あるいは今後の収支見通しを計算したり新たな投資物件を検討したりと、資産運用の戦略を立てることに集中もできます。
管理会社の手数料をかけたとしても、それ以上の利益を上げられるように投資拡大をできるのが、管理会社へ任せる1つ目のメリットと言えます。
プロの対応で余計な損失が防げる
賃貸管理会社に業務を任せると家賃を確実に集金できたり、退室時の原状回復費用の負担を減らせたりすることが期待できます。
やはり賃貸管理会社のスタッフは一般の方よりも入居者や建物への対応経験を多く持つため、所有者の方が自分で対応するよりもロスが圧倒的に少なく済むことになります。
たとえば家賃を滞納しそうな入居者を早めに察知し督促をこまめに行ったり、建物の劣化を早めに気づき悪化する前に修繕の手配をしたりできます。
どのようなことでもそうですが、早目に手を打つことがその後の余計な損失を防ぐことにつながりますので、将来的なコスト削減においても賃貸管理会社へ業務を任せる価値があるといよいでしょう。
空室期間を短くできる
賃貸運営という不動産投資で最も重要となる、空室期間を短くできることも賃貸管理会社に業務を任せる大きなメリットです。
万一空室となった際に有効な入居者募集の対策を素早く打てるのは、プロである管理会社ならではの業務です。
物件所有者の方の中には物件紹介サイトに登録しておけば良いと考える方もいますが、それだけでは空室期間を短くすることはできません。
管理会社では他に広告や情報誌などの紙媒体に掲載したり、付き合いのある仲介不動産会社に声をかけたりと、一般の方にはないさまざまな入居者募集の方法を持っています。
やはり空室が発生することが賃貸運営においては大きな損失となりますので、それを短くできる賃貸管理会社の存在は手数料以上のメリットがあるといってよいでしょう。
適切な管理会社の選び方
任せている賃貸管理会社が物件購入の時からそのままだ、という方は意外と多いものです。しかし紹介してきた業務内容や手数料を見直すことや、さらには依頼先を変えて収益を高めることは十分に可能です。
ここでは賃貸管理会社を選びなおしたり、これから新たに依頼先を探したりする方に向けてその選び方をご紹介します。
複数業者を比較して選ぶ
複数の賃貸管理会社を比較して選ぶことは、より良い条件で賃貸管理をする上で大前提と言って良いでしょう。
表面的な手数料のパーセンテージだけではなく業務をどこまで行うかや、逆に手数料以外にどのような費用がかかるのかしっかり比較すれば、より低価格で内容の充実した賃貸管理会社を選ぶことができます。
賃貸管理の手数料はある意味固定費と同様で、1回あたりはたとえ小額でも何年も続けて依頼すれば、累積する金額は非常に大きなものになります。
不動産投資の最終的なゴールは、物件の売却でもより大きな利益を確保することですから、こうした経費はより中身の伴ったものにしなければなりません。
そのためにもより有利な条件で賃貸管理会社を選ぶために、十分な比較を行うようにしましょう。
賃貸管理が得意分野か確かめる
賃貸管理会社を選ぶ際に必ず確かめておきたいのが、管理業務の分野を得意とする会社かです。
たとえば家賃の集金や管理、契約手続きなどが正確で素早く得意であるとか、建物の維持管理はこまめに行えて得意とかなど、管理会社によって特色があるものです。
その得意分野を把握した上で、さらに入居者募集の得意不得意も見極めておきましょう。
もし入居者や建物の管理は得意だが、新たな募集はあまり得意ではないという賃貸管理会社に任せてしまうと、大きなトラブルはなくても空室が増え収益が減っていく可能性があります。
具体的な空室対策をしっかり聞き取り、もし不十分なようであれば入居者募集だけ仲介不動産会社へ依頼することも検討しましょう。
管理物件を確かめる
賃貸管理会社を選ぶ際に、可能ならその会社が管理している物件を見に行くことをお勧めします。
賃貸管理会社の中には実際には建物管理が不十分であったり、外部業者に委託したままで確認しなかったりで、建物が汚かったり電球が切れたままだったりという場合があります。
このような管理状態では手数料を支払っても無駄であり、しかも空室発生の大きな原因となります。
所有者としてはきちんとした物件管理を行ってもらいたいところですが、管理物件が多かったりスタッフが少なかったりする管理会社も多く、実際に物件に足を運ぶ作業がおろそかになりがちです。
その管理会社が担当する物件を確認すると、その管理会社の実際の仕事ぶりがわかりますので、ぜひ一度見に行くことをおすすめします。
自主管理は慎重に検討
所有者の方の中には、自分で賃貸管理を行う自主管理を検討する方がいるかもしれません。
しかし実際の管理は細かな業務が大変多く、しかも夜間や休日の急な対応が求められることもあります。
また独自のノウハウも必要とされる業務のため、不慣れなまま手を出すと入居者に迷惑をかけたり、建物が余計に痛んだりして想定外の出費を招くこともあります。
特にクレームなどで早急に対処すべきことや相手と交渉をすることなどで精神的に疲労し、結局は管理会社に任せる所有者の方は非常に多くいらっしゃいます。
確かに手数料を抑えたいところかもしれませんが、時間を奪われ気苦労をすることも考えると必ずしも削るべき費用ではありません。
自主管理を考える場合にはできるだけ慎重に考えることをおすすめします。
投資面で注意すべき点
賃貸管理で忘れてならないのは、あくまで投資であることです。
建物がトラブルなくきれいに運営されることはもちろん大切ですが、投資を失敗させないために注意すべき点も常に留意すべきです。
ここでは投資を成功へ導くために重視しておきたい、賃貸管理会社のチェックポイントをお伝えします。
具体的な空室対策を聞く
先ほども述べたように不動産投資の賃貸物件で、最も重要になるのは空室対策です。
そのため依頼する賃貸管理会社には、具体的にどのような空室対策を行うか必ず確かめるようにしましょう。
ネット媒体に情報を載せ現地に入居者募集の張り紙をする程度では、一般の方が行う募集行為と大して変わりがありません。
現地にのぼり旗を立てるのは古典的ですが、遠目から募集していることがわかり他の物件を見に来た人を呼び込むことにつながります。
また情報誌や折り込みチラシは、ネットで探す方が多い現代では意味がないようにも思えますが実は一定の効果もあり、そうしたアナログな手法のノウハウを持つかどうかも確かめたいところです。
小さなことでも可能性がある限り積み重ねることが、空室解消には大変重要です。
どのような具体的空室対策を持つか、必ず事前に賃貸管理会社に確かめておくようにしましょう。
修繕計画を作成してもらう
賃貸管理会社に任せる際には、必ず所有期間を目安とする修繕計画を作成してもらいましょう。
これは個別の物件の劣化や損傷の具合に沿った、適切な修繕の時期と費用の見通しを立てるためです。建物の適切な修繕は退去を防ぎ、万一空室が出た場合には新たな入居者を獲得する上で非常に重要です。
このため建物が傷み切ってしまう前に修繕をしたいところですが、その見通しがないと費用の捻出が難しくなり修繕を後回しにしかねません。
こうした事態を防ぐため、いつごろどれくらいの費用が修繕に必要になるのか、計画を作ってもらえば予算の確保ができるはずです。
やはりプロの目で作ってもらった計画の方が確実性はありますので、必ず作成を依頼するようにしましょう。
収支計画の見通しを聞く
修繕計画に加えて維持管理の費用を加えた、長期的な収支計画の説明も受けておくと良いでしょう。
楽観的に現状がこの後も続くという前提の管理会社もあれば、先々の入居者動向の変化や経年劣化における空室の増加なども見込んでいる管理会社もあります。
比較検討をして賃貸管理会社を選ぶ場合には、必ず事前に各社からこの収支計画を書面で出してもらい、依頼先を考えるようにしたいところです。
もしすでに管理を任せているなら、今後は定期的に収支計画書を作成してもらうことをお勧めします。もしその対応や作成内容に不満を感じるようであれば、管理会社の切り替えを検討しても良いでしょう。
まとめ
賃貸管理会社の手数料の適正価格は家賃の5〜8%ですが、その表面的な数字だけでなく入居者対応や建物維持管理など、どの範囲までを含むかが非常に大切です。
また時間外対応や家賃の督促などで追加料金が掛かる場合もあり、しっかりと確かめておきたいところです。
賃貸物件の管理を任せることで、所有者の方は今後の投資運営や拡大の検討に時間を割くことができるメリットがあります。
複数の業者を比較しその管理会社の得意分野や実際の物件を確かめると、より良い条件の管理会社を選ぶことができます。
物件管理は投資のためであることを忘れずに、空室対策や中長期的な修繕計画なども提案してもらい、ベストなパートナーとなる管理会社を見つけてください。
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