不動産投資物件の外壁塗装のベストなタイミングと価格相場を解説

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初めて不動産投資物件の外壁塗装をする方にとって、ベストなタイミングはなかなか分かりにくいと思います。

汚れたままにして外壁が傷むのも困りますが、ネットで調べると見た目が汚れていても建物に影響ないという意見も見かけるため、余計に判断に迷ってしまいます。

そこで今回は不動産投資物件の外壁を塗装するべきベストなタイミングを、建築の面から詳しく解説します。

塗装費用の相場やチェック方法、家賃との関係などについてもお伝えしていますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

外壁塗装のタイミングを考える

あくまで不動産投資の賃貸建物として外壁塗装するタイミングは、次の3つのポイントを前提に考えることが大切です。

 

物件の売却時期を見通す

物件の売却時期を見通す

第一に所有する物件の売却時期を考えた上で外壁塗装のタイミングを考えるべきです。

投資である以上かけたコストの回収を見込んで外壁塗装を行わないと、長期的な収支がマイナスになる可能性があるからです。

たとえば外壁塗装をしても数年のうちに売却する計画なら、塗装をしないという選択肢もありえるはずです。

あくまで投資であることを忘れずに、売却時期とこの後お伝えする塗料の耐用年数を考慮した上で塗装時期を判断しましょう。

 

塗料の単価相場と耐用年数

塗料の単価相場と耐用年数

外壁塗装の塗料にはいくつかの種類がありそれぞれ耐用年数が異なります。

それに比例して価格も変わるため、予算と耐用年数を考慮した上で外壁塗装の時期を検討する必要があります。

代表的な塗料の価格相場と耐用年数の目安は以下の通りです。

塗料 費用相場(㎡あたり) 耐用年数
アクリル 1,200円〜 5〜7年
ウレタン 1,800円〜 8〜10年
シリコン 2,500円〜 10〜15年
フッ素 3,800円〜 15〜20年

※足場代や補修費などの諸費用は別途必要になります。

 

費用は諸経費も考慮

費用は諸経費も考慮

外壁塗装の費用を考える場合は、諸費用も必ず加えて計算するようにしてください。建物の規模によりますが足場代のように非常に大きな金額になる項目もあるからです。

それぞれの項目の金額目安は足場代が外壁塗装費用全体の20%程度、それ以外の諸費用の合計で20%〜が目安です。

代表的な諸費用の項目には以下のようなものがあります。

項目 内容
足場代 塗装時に建物を囲う鉄パイプで組まれた囲いです。塗料が飛び散るのを防ぐ養生ネットを張るためと、職人の安全性と作業性を確保するために必要です。
養生費 窓やエアコン室外機などに塗料を付けてしまわないよう、ビニールで覆いをするための費用です。入居者の車に養生をすることもあります。
補修費 外壁自体のひび割れや各ジョイント、窓まわりの防水シーリングの損傷を補修する費用です。損傷の程度によって金額は大きく変わります。
管理費 施工業者が現場を管理するための費用です。明確な内訳がないことも多いですが、近隣への告知や廃材が出た場合の処分費、補助金の申請費用など、塗装以外の費用です。

 

塗装すべきタイミングのサイン

外壁の状態で塗装行うべきタイミングを確認する方法を紹介します。

一般の方でも簡単に判断できる方法ですのでぜひチェックして頂き、気になった場合は必ず専門業者に判断してもらうようにしましょう。

 

チョーキング

チョーキング

チョーキングとは塗料が紫外線や風雨で劣化し、触った時に粉になって手に付く現象のことです。

チョーキングが現れていると塗料の防水性は失われており、外壁はまったく保護されていない危険な状態です。

このまま放置するとやがて外壁自体に劣化が及び、ひび割れや崩れなどが起きて外壁の張り替えなど大掛かりな補修工事が必要になる可能性もあります。

 

ひび割れ

ひび割れ

ひび割れは外壁の塗料が硬化してひび割れる場合と、外壁材自体が割れている場合の2種類があります

塗料が固くなってひび割れている段階であれば、再塗装で耐久性を復活させることが可能ですが、の状態を放置すると外壁材自体もひび割れてきます。

外壁自体のひび割れは軽度ならパテなどの補修剤で対応できますが、完全に貫通していたり範囲が広かったりすると張り替えになります。

正面から見て深さが1mm以上あると外壁自体の割れが疑われますが、一般の方が正確に判断するのは難しいと思います。

もしひび割れを発見し深さがあるようなら、専門業者に確認してもらうことをお勧めします。

 

雨水の浸透

雨水の浸透

雨が降った時に外壁に雨水のシミができるようなら、外壁塗装をするべき一つのタイミングと言えます。

外壁は本来塗装による防水機能があるのですが、年数がたって劣化すると水を弾かなくなり雨水が染み込む現象が起こります。

そのまま放置すると外壁が濡れて乾いてを繰り返し、割れや反り、ふやけが起きて外壁材が崩れてくる可能性があります。

前回の塗装から10年以上経っている物件は雨が降った日に外壁を確かめていただき、シミができているなら早めに塗装業者に相談することをおすすめします。

 

塗装を判断する外壁以外の要因

塗装のタイミングは外壁の状態以外の要因も含めて考える必要があります。

確かに見た目がきれいになるのは良いことですが、投資で考えるとできるだけ出費を抑え、より入居者に選ばれるために行うべきだからです。

外壁以外でも塗装をすべきか判断する2つのポイントを紹介します。

 

見逃せない屋根や屋上の塗装

見逃せない屋根や屋上の塗装

外壁の状態は悪く見えなくても屋根や屋上の床が傷んでいるようであれば、外壁も塗装のタイミングであることが考えられます。

アパート屋根の代表的な材料であるスレートや、屋上床の仕上げであるFRPやシート防水は、同じ建物であれば外壁塗装と同程度の寿命が一般的です。

多少屋根や屋上の方が先に傷みますがそのすぐ後に外壁が傷むことが多く、もし屋根や屋上に傷みが発生しているなら外壁を含めて塗装のタイミングだと考えて良いでしょう。

しかも屋根や屋上と外壁を同時に工事できれば、足場代が一回で済むというメリットもあります。

外壁塗装のタイミングは、屋根や屋上の状態も考慮して考えるようにしましょう。

 

空室が長引いている場合

空室が長引いている場合

空室が長引いている物件は外壁塗装によって改善できないか、考えてみることをおすすめします。

物件を長く所有していると外観を見慣れてしまい、劣化で汚れていることに気付かない場合があります。

中には家賃が高いから入居者が現れないと考え家賃を下げてしまう方もいますが、収益が落ちて余計に塗装などの修繕費用が捻出しにくくなります。

家賃を下げる前にぜひ第三者に相談し、物件の外観が見苦しくなっていないか聞いてみてはいかがでしょうか。

あまりにも評判が悪いようならまさに外壁塗装を行うベストタイミングかもしれません。

 

塗装費用を抑えるポイント

外壁塗装は規模の大きな補修工事で数百万円の費用がかかるため、工事品質を落とさないようにしながらできるだけ金額を抑えたいところです。

ここでは塗装費用を抑えるための基本的なポイントをお伝えします。

 

管理会社の提案だけに頼らない

管理会社の提案だけに頼らない

物件の管理会社は普段からさまざまな建築業者と取引を行っているため、外壁塗装の相談をすればすぐに見積りを作ってくれます。

しかしそうした見積りの工事業者は競合せずに仕事がもらえるため値段設定は高めで、しかも管理会社のマージンも上乗せになります。

たしかにこれまで管理してもらった付き合いがあるため話はしやすいかもしれませんが、しっかりと利益を出すのなら管理会社以外の塗装業者も検討するべきです。

現在はネットで調べればアパートやマンションの外壁塗装を行う業者はいくらでも見つけられます。

工事業者を選定する手間はありますが、もし良い業者が見つかれば費用をグッと抑えることができます。

外壁塗装を検討する際はぜひ管理会社以外の塗装業者も探すようにしましょう。

 

足場が必要な工事は同時に行う

足場が必要な工事は同時に行う

外壁塗装の工事費だけでなく中長期の出費も抑えるなら、足場を利用できる工事をまとめて行うのもおすすめです。

例えば上層階のサッシ補修や交換、外壁設置のエアコン室外機の修理や交換などは、安全に工事を行うための高所作業費が別途でかかります。

しかし足場があると通常の工事で済み、高所作業費はかからずに済みます。

他にも雨樋など改めて建物の外部を見回してみると、修理すべき箇所は意外と多いものです。

外壁塗装を行うときは同時にできる工事を一緒に行うようにし、投資全体の中での出費を抑えるようにしましょう。

 

外壁塗装と入居率は関係があるのか

不動産投資を行っている方の中には、建物の見た目は収益には関係ないと主張する方がいます。

確かに見た目が悪くても空室が少なく収益を上げている物件は存在します。

しかし塗装が収益に関係するかどうかは、次に上げる2つのポイントを理解した上で判断する必要があります。

 

家賃重視か満足度重視か

家賃重視か満足度重視か

まず所有する物件が家賃重視か入居者の満足度を重視するかという点です。

家賃重視とは入居者が、家賃が安ければ見栄えや住み心地は多少悪くても構わないと考えている物件のことです。

こうした物件では家賃が安ければ外壁塗装をしなくても入居者が出て行ことは考えず、さらに家賃重視の入居希望者もある程度集まります。

ただしこうした物件は家賃収入が少なく、利回りで考えると決して優良な物件とは言い切れません。

逆に満足度を重視の物件では、外壁が汚れていれば入居者に嫌われ転居されてしまう可能性があります。

満足度は見た目だけでなく住み心地もある程度重視されるため、適切に修繕の費用をかけ建物状態を良くする必要があります。

しかしそうした物件は家賃をある程度高めに設定することも可能で、利回りは高めになる傾向があります。

自身の運営する物件がどちらに該当するか理解した上で、外壁塗装を行うべきか考えるようにしましょう。

 

工事の優先順位を考える

工事の優先順位を考える

外観が良くなれば入居率が高まることは考えられますが、もし他に劣化している設備などがあるなら優先順位を考え、より入居者に満足してもらえるものから工事するようにしましょう。

たとえばエアコンが古く故障が多いようであれば、塗装よりもエアコンの交換に費用を回した方が良いかもしれません。

エアコンは入居者にとって快適性を保つ重要な設備であり、十分に冷暖房が効かなければ転居されて収支が悪化するしまう可能性があります。

外壁塗装はもちろん大切な修繕ですが、他にも傷んでいて入居者に不便を与えているところはないかしっかり確認し、優先順位を考えた上で外壁塗装を検討しましょう。

 

周囲の競合物件を確かめる

周囲の競合物件を確かめる周囲の競合物件を確かめる

所有物件の周囲にある競合物件の外観がきれいなら、外壁塗装が入居率に影響することが考えられます。

入居を検討する方は当然ですが同じ条件の物件をいくつか比較し検討します。

もし同じ地域にあって間取りも似たような物件なら、外観がきれいな方を選ぶ確率は高いと考えられます。

極端に家賃が安ければ別ですが家賃も大差がないなら、競合物件に入居者を奪われている可能性があり、外壁塗装を行う価値は大いにあると言えます。

こうした競合リサーチは不動産投資を安定させる上で重要な意味を持つため、自身で十分に行ってから外壁塗装を検討するか、賃貸投資に明るいコンサルタントなどに意見を求めると良いでしょう。

 

塗装業者の選び方

初めて外壁塗装を頼む方にとって、どのように塗装業者を選べば良いかわからないというのが正直なところではないでしょうか。

実際に塗装業者に粗悪な工事されてしまい、仕上がりが悪かったり長持ちしなかったりというトラブルも多く見られます。

そこでしっかりと工事をしてくれる塗装業者を見分ける、3つのポイントを紹介します。

 

現地を見ない業者に注意

現地を見ない業者に注意

ネットで塗装の見積依頼を受付けている業者の中には、実際の建物状態を見ないまま見積りをするとこころが増えています。

こうした業者の見積りは実際に工事が始まってから追加工事が発見され、金額の追加が発生する可能性があります。

最も多いのは塗料や防水シーリングの想定以上の劣化が見つかり追加費用が発生するケースです。

他にも狭小地で足場が組めなかったり物置や倉庫が隣接していて塗装できない面があったりと、工事自体の可否に影響する場合もあります。

本来正確な見積りは現地を見ないと作れないものですが、できるだけ数をこなしたいと考える業者は現地を見ないで見積りを作るため注意が必要です。

工事が始まってから予想外の追加費用が発生すれば、物件の収益を大きく削らなければいけない事態も考えられます。

ネットで頼める見積りはあくまで概算と捉え、しっかりと現地調査をしてから正式な見積を作る業者を選ぶようにしましょう。

 

あまりに遠方の業者は避ける

あまりに遠方の業者は避ける

塗装が終了して日が経つと乾燥や気温の変化などで色が変わったり、小さな塗り忘れが見つかったりすることがあります。

こした際に注意したいのが塗装業者のアフターサービスで、会社が遠方の塗装業者は一度撤収した後の手直しをしたがらない傾向があります。

遠い現場に再度職人を送ることはそれだけ他の現場の仕事を遅らせてしまい、売上を減らしてしまう可能性があるからです。

こうしたことを避けるためにも、工事後に気になることがあったらすぐに駆けつけてくれる距離の業者を選ぶことが大切です。

あまりにも遠い業者はよほどの信頼関係がない限り、避けた方が安心でしょう。

 

見積りを丁寧に説明するか

見積りを丁寧に説明するか

塗装の見積りを初めて見る方にとって、その内訳項目は馴染みのないものがほとんどでしょう。

そのため塗装を任せる相手を選ぶときは、見積り項目を一つ一つ丁寧に説明してくれる業者を選ぶことをおすすめします。

見積りの項目が理解できなければどのような工事が行われるかわかりませんし、手抜きや見積り忘れを防ぐ意味でもしっかりと項目を説明してもらうことは大切です。

またしっかりと初心者にもわかりやすいように見積りを説明してくれる姿勢は、工事の丁寧さにも通じるものがあります。

見積りを受け取った際は金額だけでなく、どのように説明してくれるかを併せて確認するようにしましょう。

 

まとめ

外壁塗装のタイミングは物件を所有する予定期間と、塗料の耐用年数、価格のバランスがとても大切です。

その上でチョーキングやひび割れなど実際の外壁からの塗装サインを確かめながら検討するようにしましょう。

実際に工事をする際は管理会社からの提案だけでなく複数社を比較し、さらに足場があれば同時にできる工事も検討することでトータルの出費を抑えることができます。

ただしあくまで投資物件の塗装ですから入居率の改善が見込まれるかや、他の損傷が入居率に影響を与えていないか確かめた上でタイミングを検討しましょう。

しっかりと工事をしてくれる塗装業者を見極め丁寧な工事をしてもらい、投資物件の収益向上に役立つ外壁塗装を行ってください。

【記事監修】 山田 博保

株式会社アーキバンク代表取締役/一級建築士
建築業界での経験を活かした不動産コンサルティング及び建築、不動産に関わるWEBメディアを複数運営。Facebookお友達申請大歓迎です。その他、建築や不動産、ビジネスモデル構築に関するコンテンツは公式サイトより。

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