不動産投資で大規模修繕費用を安く抑える方法!相場や適正工事も解説

  1. 大規模修繕
  2. 138 view

不動産投資の大規模修繕費用は非常に高額なイメージがありますが、適正な工事内容にすることで費用を抑えることは十分に可能です。

そこで今回は、大規模修繕工事の費用を安く抑える具体的な方法を、ポイントを絞ってご紹介したいと思います。

大規模修繕は建物の状態を維持することで突然修理費が必要になることを予防し、しかも売却価値や入居率を高めてくれる効果もあります。

建物本体だけでなく投資の面でも大きな意味のある大規模修繕を、できるだけ抑えた価格で行えるよう今回の記事をお役立てください。

 

大規模修繕費用を安く抑える基本テクニック

初めに大規模修繕費用を安く抑えるための、基本的なテクニックをご紹介します。

特に1棟物件をお持ちで大規模修繕が初めてという方は、費用を安く抑えるための大前提として目を通していただきたいと思います。

 

複数の項目をまとめて工事する

複数の項目をまとめて工事する

大規模修繕の費用を抑えるには、できる限り修繕する項目をまとめて工事を行うべきです。

たとえば、外壁塗装では外回りに安全と作業のしやすさを確保するため、鉄パイプを組み合わせた囲いの足場を設置することになります。

この足場は塗装の他にも外側の防水工事やサッシの補修、建物形状によっては屋根の工事を行う際にも必要になり、これらをまとめて行うことで足場の費用を1回で済ませることができます。

あるいは照明器具やドアのインターホンは電気設備業者が一括して行えますし、給排水管の工事と合わせて給水ポンプも水道設備業者が行えますので、同一業者への依頼をまとめれば値段交渉もしやすくなります。

一般の方にはどこまでが一括して依頼できる範囲かわかりにくいと思いますので、まずは相談の段階で他に行える工事がないか質問するようにしてみましょう。

 

自分で工事業者を探す

自分で工事業者を探す

次に大規模修繕費用を安く抑える方法の基本は、管理会社から紹介される修繕工事業者にそのまま頼むのではなく、自分でも大規模修繕の業者を探してみることです。

管理会社を経由した工事業者の費用には、管理会社のマージンが上乗せされていることも十分に考えられます。

また、管理会社経由の大規模修繕は見積もりがそのまま通ることが多いため、業者側も金額を高めに見積もる傾向があります。

しかし他の業者を自分で探して比較できれば、競合させることで見積もり金額を安く抑えられますし、適正な工事内容を知り無駄を省ける可能性もあります。

多少の建築知識は必要と言えますが、相手業者に教えてもらいながら行えば次の物件で生かせますし、どうしても心配であればコンサルタントに見積もり内容の相談をするのも良いでしょう。

今後も投資物件で大規模修繕を行うつもりであれば、ぜひ自分で工事業者を探してみることをお勧めします。

 

工事業者を比較して費用を抑える

自ら工事業者を探して依頼する場合に役立つ、工事業者を比較するポイントをご紹介します。

 

値段だけでは決めない

値段だけでは決めない

1つ目のポイントは、決して見積書の金額だけでは決めてはいけないと言うことです。

それは大半のオーナーの方が、大規模修繕ではどういった工事があり、それらはどの程度のサイクルで修繕すべきか御存じなく、適切な工事内容を判断できないからです。

たとえば不要な工事まで行う内容で割高に見積もる業者もあるでしょうし、行うべき修理を含めないで見積もりを作り契約に誘導する業者がいるかもしれません。

まずは見積もりで提示される工事内容の説明をしっかり受け、十分に必要性が納得できてから金額を判断するようにしましょう。

 

複数業者の見積もりを取る

複数業者の見積もりを取る

工事内容の必要性を納得できるようにする重要な大切なポイントは、複数の工事業者の見積もりを必ず取るということです。

複数の業者の見積もりを並べて比べることで、必要な工事の項目を知る事ができますし、所有している物件に合わせた適正な価格相場も見えてきます。

各社が共通して進める工事項目であれば必ず行った方が良いと判断できますし、逆に1社だけが提案している工事項目があればその理由を聞くことで、不要な工事を上乗せする業者を見抜けるかもしれません。

あるいは、他社が気づいていない損傷を見つけている、優秀な業者に出会える可能性もあり、複数業者の見積もりを見ることのメリットは大きなものがあります。

物件の所在する地域で工事のできる業者数によりますが、できれば3社程度は見積もりを取ってみると良いでしょう。

 

複数の提案をしてくれる業者を選ぶ

複数の提案をしてくれる業者を選ぶ

業者を比較する3つ目のポイントは、複数の提案をしてくれる業者を選ぶと言うことです。

たとえば、外壁の塗装にはさまざまな塗料があり、その種類によって値段と耐久性が大きく変わります。

工事をする時点で安いというだけでなく、物件を所有する予定期間によっては、多少割高でも耐久性の高い塗料を選んだ方が、最終的には安く済むとも考えられます。

あるいは、数年のうちに売却を考えている物件であれば、高価で耐久性の良い塗料を選ぶより費用を抑えた塗料を選ぶという選択肢もあります。

このように、物件の計画に合わせた大規模修繕の工事内容を選択した方が、物件運営のトータルで費用を安く抑えることになります。

このため、できるだけ複数の選択肢を提案してくれる工事業者を選ぶことをお勧めします。

 

適正な工事項目を選び費用を抑える

大規模修繕工事には数多くの工事項目があり、その組み合わせによって費用が決まります。

まずは費用を抑えるための基礎知識として、どのような工事の項目があるのか、代表的なものを建物外部、給排水設備、電気設備の3つに分けて解説します。

 

建物外部

まず1つ目は建物外部にある、3つの工事部分を解説します。

 

外壁塗装

外壁塗装

1つ目は外壁塗装で、建物の貼られている外壁の表面には、主に塗装かあるいはタイル張りで仕上げがしてあります。

これらは雨や直射日光の紫外線で劣化し、ひび割れや剥がれを発生させて建物の外観を悪化させるだけでなく、さらに悪化すれば外壁が剥がれて落下し、下にいる人やものに被害を与える可能性があります。

大規模修繕においては外壁の再塗装や、タイルの交換、目地の補修、防水処理などが主な補修になります。

 

屋上屋根防水

屋上屋根防水

建物の屋上の床部分には防水の塗装やシートが施工してあり、これも雨や紫外線により悪化をしてくると、ひび割れや剥がれを引き起こします。

この損傷が進行すると、雨水が建物内に侵入し、屋根裏を通って階下の室内に雨漏りを発生させます。

部屋はもちろん中の家財や入居者へ直接被害を及ぼしますので、屋上床部分は損傷が起きる前に補修や再施工を行うようにしましょう。

 

外構路面

外構路面

外構路面とは駐車場や通路、エントランスの階段など、建物本体ではありませんが、入居者が日常的に使う部分で、利便性に大きな影響を与えます。

ひび割れや段差があればつまずきや転倒の原因となり、入居者や訪問者がケガをすれば大きな問題になります。

またひび割れなどから雑草が生えれば美観を損ない、下見に訪れた入居希望者の印象は大きく低下するため、大規模修繕では忘れず工事項目に含めましょう。

 

ベランダ

ベランダ

マンションやアパートには屋外に張り出したベランダがありますが、こちらの床にも防水塗装が施工してあります。

この塗装が屋上と同様に雨や紫外線によって劣化すると、ひび割れなどが発生し雨漏りを発生させる恐れがあります。

こちらも屋上と同様の再塗装で補修を行うため、状態にもよりますが大規模修繕で同時に行うことが多い工事になります。

 

給排水設備

給排水設備とは建物の各部屋に水を供給する配管や、出される排水を屋外へ流し出す配管、そしてそれを補う設備を指しています。

生活インフラとして重要な項目ですので、しっかりと把握をしていただきたいと思います。

 

給排水管の清掃・交換

給排水管の清掃・交換

給水管は常時水が流れており、基本的には内部の汚れが発生しにくくなっています。

そのため大規模修繕では主に管のジョイントと、金属製の配管では腐食などを点検し、必要であれば交換をすることになります。

排水管は汚れた水を流しており、しかも常時内部に水が満たされていると状態ではないため、長期間使用していると汚れが内部に付着しやすい構造になっています。

大規模修繕では高圧洗浄で内部の汚れを取り除き、その上で給水管と同様ジョイントの劣化や金属腐食の有無を確かめ必要に応じて補修を行います。

 

受水槽の入れ替え

受水槽の入れ替え

受水槽とはマンションなどで給水管からの水をいったん貯めておくタンクで、水圧が低く建物の各戸に十分に水を送れない物件で設置されていたものです。

しかし貯めた水の衛生上の問題から、現在は受水槽ではなく水圧を高めるポンプを使うなどして、直接各戸に水を送る増圧給水ポンプへの入れ替えが進められています。

水道設備業者が参加する大規模修繕のタイミングで、行われることも多い工事です。

 

電気設備

電気設備は日常的に使うものが多く、故障などは直接入居者へ不便を与えてしまいます。

さらに漏電により火災を起こす危険性もあるなど、建物へも大きな被害を及ぼす可能性も高くなっています。

このためできる限り短いスパンで定期点検を行い、不具合が発生することを未然に防ぐべき設備と言えます。

 

エレベーター

エレベーター

エレベーターは使用者の安全に配慮をすべき設備の筆頭です。

万一使用者に被害を及ぼせば人道的にも社会的にも責任を問われることになるため、決して大規模修繕で費用を省く対象にすべきではありません。

メーカーが推奨するこまめな点検はもちろん、早めの部品交換やメンテナンスを行うべきですし、できればメーカーや専門の設備会社と定期的な維持管理の契約を結び、常に万全の状態にするべき設備です。

 

共用部照明

共用部照明

共用部とは廊下やエントランス、非常階段といった入居者が共通して使用する部分で、その照明は入居者の安全や防犯のために重要な設備になっています。

また、照明が切れたままだと外から見たときの印象も非常に悪いため、新たな入居者に嫌われる原因にもなり得ます。

実際に不具合が起きる前に大規模修繕で交換するようにし、もし古い物件で蛍光灯などを使っているようであれば、これを機に経済的なLED照明に交換するのも良いでしょう。

 

オートロックとインターホン

オートロックとインターホン

各部屋のインターホンも毎日入居者が使用するものなので、万一故障すると不便さをダイレクトに感じさせ、物件への不満を高めてしまいます。

また、エントランスのインターホンと連動したタイプのものが故障すると、入居者だけでなく訪問者にも迷惑をかけることになり、建物への印象はさらに悪化します。

物件に不便な部分が積み重なると更新の時期に退去されてしまう可能性が高まりますので、劣化してきているようなら不具合が発生する前に、大規模修繕で早めに交換するようにしましょう。

 

消防設備

消防設備

消防設備とは消化器から始まり各部屋の避難はしごや火災報知設備など、消防法で厳しく設置基準が定められています。

それぞれの点検や整備の周期も同様に基準が設けられているため、必ずしも大規模修繕とタイミングが合うとは限りませんが、同時期に行えるものがないか確認をしてみましょう。

ただし入居者の安全確保はもちろん、コンプライアンスの点からも確実に行うべきものですので、無理に大規模修繕に合わせるのではなく、劣化や法令に合わせて実施するようにしてください。

特に近年は火災発生時に消防設備の不備で入居者などへ被害が及んだ場合、厳しく所有者に責任を負わせる判例が続いています。

ぜひ一度は以下の記事を参考に項目や時期を確認し、長期的な計画を立てるようにしましょう。

「消防設備はなぜ必要?不動産投資物件における違反リスクと対策を解説」

http://fudosan-archi.com/2020/05/10/firefighting-equipment/

 

適切な時期を知って費用を抑える

適切な時期を知って費用を抑える

大規模修繕の判断で大きなポイントとなるのが、対象となる工事項目の適切な時期です。

先に述べたように、可能な限りまとめて工事を行った方が費用を抑えられますが、その判断の前提となるのが適切な時期の知識です。

また大規模修繕の工事業者から、まだ早過ぎる工事項目が提案されていることがわかれば、費用を削減できるだけでなく業者選定の判断材料にもなります。

工事項目ごとの適切な修繕時期を以下の記事で詳しくご紹介していますので、ぜひご覧いただき参考にしてください。

「不動産投資物件を大規模修繕するベストタイミング!実例データで検証」

http://fudosan-archi.com/2020/08/26/large-scale-repair-2/

 

適正価格を知って費用を抑える

適正価格を知って費用を抑える

大規模修繕の適正な価格を知って費用を抑えることは、非常にベーシックなことですが、効果はても大きくなります。

ただし重要なのはどのような工事項目がり、それがどれくらいの周期で修繕が必要になるかをご理解していただき、その上で価格相場を見ながら工事の組み合わせを考えるようにしましょう。

繰り返しになりますが価格の高い安いだけで大規模修繕の内容を決めてしまうと、長期的に見たときに決して安くならないこともあります。

その点を十分にご理解していただいた上で、以下の記事でご紹介している適正な価格をご覧いただければと思います。

「不動産投資における大規模修繕の適正価格!相場や実施周期を詳細解説」

http://fudosan-archi.com/2020/08/24/large-scale-repair/

 

まとめ

まとめ

不動産投資における大規模修繕の費用を安く抑えるためには、まずどのような工事項目があるかを知り、その上で費用の相場や適正な周期を知ることが大切です。

そして直近で行う大規模修繕ではどの工事を組み合わせれば費用を抑えられるかを、長期的な視点で考えてみるようにしましょう。

さし当たっての出費を抑えることは確かに大切ですが、大規模修繕が終わってすぐに別の修繕費がかかるようでは、費用を安く抑えた意味がありません。

またエレベーターや消防設備のように、入居者の安全のために大規模修繕のタイミングに無理に合わせてはいけないものあります。

あくまで投資物件の長期的な安定運営という視点で、大規模修繕も計画するようにしましょう。

【記事監修】 山田 博保

株式会社アーキバンク代表取締役/一級建築士
建築業界での経験を活かした不動産コンサルティング及び建築、不動産に関わるWEBメディアを複数運営。Facebookお友達申請大歓迎です。その他、建築や不動産、ビジネスモデル構築に関するコンテンツは公式サイトより。

記事一覧

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。