不動産投資物件を大規模修繕するベストタイミング!実例データで検証

  1. 大規模修繕
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大規模修繕のタイミングを見誤ると、不動産投資では大きな損失を被る恐れがあります。

修繕時期が遅れて損傷を悪化させ、修繕費用が余計にかかったり、まとめて工事をしてコストダウンできたものを、別々に行い割高な修繕費を払うことになったりするからです。

そこで、今回は不動産投資物件の大規模修繕を行うベストタイミングを、他の物件がどのタイミングで行ったかの実例データをもとに、詳しく検証したいと思います。

また、1棟物件とマンションなどの区分所有物件とで、タイミングに対する注意点を分けて解説していますので、所有や検討をされている物件形態に応じて、参考にしていただけます。

投資物件を運営していく上で、余計な支出を発生させないためにも、ぜひご活用ください。

 

不動産投資で大規模修繕が必要な理由

不動産投資で大規模修繕が必要な理由

 

初めに、不動産投資物件において大規模修繕を行う理由を解説したいと思います。

大規模修繕はある程度の金額がかかるため、自分の判断でタイミングを決められる1棟物件のオーナーの方は、その時期を遅らせてしまいがちです。

しかし、以下のようなメリットが確実に存在するため決して後回しにせず、長期的な計画に組み込み適切なタイミングで大規模修繕を行うようにしましょう。

・損傷悪化での費用増を防ぐ

第一のメリットは建物の損傷が悪化することで、修繕費用が増大してしまうことを防ぐ効果です。

特にある程度築年数が経っている物件で、前回の大規模修繕から期間が空いてしまい何のメンテナンスもされていなければ、一日ごとに修繕費用が上昇していくと考えてよいでしょう。

適切なタイミングで大規模修繕を行うことで、悪化を食い止め費用が増えていくことも抑えられます。

・出口戦略に好影響

次に物件の出口戦略を考えたときに、大規模修繕が適切に行われていると購買希望者の印象が良くなると言うメリットがあります。

その結果より高い金額での売却が可能になり、さらに売却交渉事に値引き要求の要因にされることも防げます。

大規模修繕を行ってすぐに売却すると言うケースは別ですが、まだ有る適度所有される計画であれば、劣化や損傷による物件価格の低下を防ぎ、買い手も付きやすくなると言えます。

・入居率を高めることができる

大規模修繕を行うことで、入居率を高めることも期待できます。

たとえ築年数が経っている物件でも、修繕によって見た目が良くなっていれば、新たな入居者にとって印象が良くなり、募集の上で有利になることは間違いありません。

また、内装や設備も使いやすく修繕をされていれば、現在入居している方の退去を防ぐことにもなります。

 

棟物件は建物状態で判断する

棟物件は建物状態で判断する

1棟物件での大規模修繕は、タイミングや工事内容を自分で決められるというメリットはありますが、半面で正しく建物状態の判断し、自己責任でタイミングを決めることになります。

すでにお伝えしたメリットが大規模修繕にはありますが、それが適切なタイミングで行われなければ損傷悪化により修繕費用が増大し、売却時の価格は下がり、入居率も低下することを招きます。

そこでここでは、一棟物件において、大きく建物躯体部分と設備部分に分けて、大規模修繕を行うべき対応年数の目安と、その判断の注意点をご紹介します。

 

建物部分の修繕時期目安

まずは建物躯体や関連する部分の修繕時期目安をご紹介します。

使われる材料や立地条件、使用状態によって時期が変わることもありますので、一度大規模修繕の経験豊富な工事業者などに点検をしてもらい、物件ごとの目安時期を把握することをお勧めします。

対象建物部分 修繕の目安時期 備考
外壁塗装・タイル補修 12〜15年
共用部床塗装 10〜15年 廊下やエントランスの床
共用部鉄部塗装 5〜10年 手摺など
屋上・屋根防水 10〜15年
屋根葺き替え 20〜30年 屋根材により差がある
給排水管洗浄 10年 点検は5年ごとを推奨
給排水管入れ替え 30年
サッシ、玄関ドアの入れ替え 30〜35年
外構路面などの補修 15年 駐車場、駐輪場、歩道、外部階段など

 

各設備の更新時期目安

続いて建物の設備についての更新(入れ替え)の目安時期をご案内します。

こちらも使用状況や製品によって時期のばらつきがありますが、利便性や安全性に関わる部分は特に、早めの修理交換をお勧めします。

対象建物設備 更新の目安時期 備考
オートロック+インターホン 15年
共用部照明 10〜15年 共用アンテナもあれば同時期
給水ポンプ 16年
受水槽設備 25年
機械式駐車場 30年
自動火災報知設備 20年
屋内消火栓BOX 25年
エレベーター詳細点検と部品交換 10年 定期点検はメーカー推奨時期にて
エレベーター入れ替え 30年

こちらの設備ごとの費用相場や更新時のポイントについては、以下の記事にて詳しく解説していますので、ぜひ一度ご覧ください。

キュービクルなどの設備更新は重要!その適正時期と費用を徹底解説!

http://fudosan-archi.com/2020/04/15/renewal-of-facilities-such-as-cubicles/

 

実例データで見る大規模修繕のタイミング

実例データで見る大規模修繕のタイミング

国土交通省が平成29年に行った、「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」の中で、大規模修繕が実際に行われた年数を調査集計していますので、参考にご覧いただきたいと思います。

  • 大規模修繕を実施した回数ごとの最も多い築年数
大規模修繕の実施回数 築年数 実施割合
1回目 11~15年 64.9%
2回目 26~30年 44.2%
3回目 41年以上 47.7%

参照リンク

国土交通省:マンション大規模修繕工事に関する実態調査を初めて実施

https://www.mlit.go.jp/report/press/house06_hh_000154.html

http://www.mlit.go.jp/common/001234283.pdf

これを見ると一般的に目安とされている12年の周期に、概ね沿った年数で行われていることがわかります。

ただし、この調査は主に分譲マンションで行われたものであり、建築当初から規約などで大規模修繕の時期が定められているため、所有者個人の判断に委ねられる一棟物件ではタイミングが異なる可能性があります。

ただし建物の劣化具合は所有の形態で変わることはないため、1つの実際のデータとして参考にしても良いと思います。

さらに詳細な実施時期のデータや、費用の相場などは以下の記事でご案内していますので、ぜひこちらもご覧になってください。

「マンションの大規模改修工事費用の現実!実際の実施年数も徹底調査」

http://fudosan-archi.com/2020/03/17/large-scale-renovation-of-apartments/

 

タイミングを検討する上でのポイント

大規模修繕のタイミングを考えるうえで、コスト出費を抑えるという観点から注意していただきたいポイントを、2つお伝えします。

建物の状態や耐用年数の周期も大切ですが、さらに費用削減を考慮することが、投資で高い利回りを実現するカギとなります。

以下の点を参考に、より良い収支を生むためのタイミングを、考えてみるようにしてください。

 

周期が一致するところでタイミングを考慮

周期が一致するところでタイミングを考慮

まず1つ目が、建物の外装や内装、設備などの耐用年数や、劣化状態に応じた修繕すべきタイミングが、極力一致するところを見極めて大規模修繕を行うことで、費用削減効果が高まります。

たとえば、外装の補修や塗装、防水、窓の修繕などでは足場を設置する必要がありますが、これを同時に行うことで足場費用が1回で済むことになります。

建物の規模によりますが、足場は数十万円から数百万円と高額な出費となるため、その削減効果は非常に大きな物があります。

また工事の元請け会社に対しても、ある程度大きな規模で頼むとなれば値段交渉もしやすくなり、また管理費や廃材処分費などの諸経費も、一回で行ったほうが安く済む可能性があります。

他にも住人からの苦情やトラブルを減らすことが期待できるなどのメリットもありますが、何より費用の削減効果は大きいため、一括して行える工事はないかを確認しながらタイミングを検討してみましょう。

 

大規模修繕は工事期間も把握する

大規模修繕は工事期間も把握する

大規模修繕のタイミングを検討する場合は、その工事期間も把握した上で検討する必要があります。

工事期間は建物の規模によってまちまちですが、一般的な10室から20室程度のアパートでおよそ2〜3ヵ月、中規模のマンションになると半年〜1年程度、大規模なマンションになれば1年以上かかることもあります。

このスパンを考慮した上でどの範囲まで工事を行うか検討しないと、大規模修繕が終わってすぐに別の工事を行うという事態になりかねません。

また、工事期間を入居者に十分に周知しておくことは退去者を防ぐために重要ですし、外壁塗装などで足場がかかる期間が長期化すると、新規の入居者募集にも影響を及ぼします。

できる限り工事期間を確実な日数で把握し、それを物件運営上のスケジュールに当てはめながら、タイミングを検討することも重要です。

 

大規模修繕の費用相場

大規模修繕のタイミングを考える上で、最も重要な要素となるのがその費用です。

修繕はその項目ごとで費用が大きく変わるため、どの組み合わせで大規模修繕を行うか、大いに頭を悩ませるところです。

以下の記事では補修を行う細かな項目ごとの、適正な費用をご紹介しています。

限られた予算の中で、最大限の効果を生む大規模修繕とするために、ぜひ一度ご覧になってみてください。

「不動産投資における大規模修繕の適正価格!相場や実施周期を詳細解説」

http://fudosan-archi.com/2020/08/24/large-scale-repair/

 

マンション1室所有でのタイミング

マンション1室所有でのタイミング

投資物件が区分所有マンションの1室所有の場合は、建築当初の大規模修繕計画を元に、管理組合で協議されたタイミングで工事は行われることになります。

賛否の決議などに参加する権利はありますが、所有者だけの意思でタイミングをコントロールすることは不可能です。

しかし実際にいつごろ大規模修繕工事が実施されるかを見通しておかないと、売却時期の戦略も立てられませんし、場合によっては積立金の値上げで予定していた収支が狂う可能性があります。

そこで、区分所有マンションで大規模修繕が行われるタイミングを、予想をするためのポイントをご紹介したいと思います。

 

協議の進捗状況

協議の進捗状況

区分所有物件では管理組合で協議された上で、大規模修繕が行われるタイミングが決まりますが、注意しておきたいのは、当初の修繕計画通りに行われるわけではないという点です。

建物の実際の劣化具合や積立金の残高状況、所有者全体の意向、あるいは建築費の上昇などによって、工事時期が調整されます。

特に築年数が経過し入居者が減少しているような物件は、資金不足によってなかなか大規模修繕が実施されないケースもあります。

これを見通すには管理組合での協議の進捗を定期的に確認することがお勧めで、当分実施はなさそうだとか、資金不足が深刻であるとか、今後の物件の見通しに大きく影響する事項を知ることができます。

区分所有だからといって単なる傍観者とならず、積極的にリサーチを行うことで、大規模修繕のタイミングをつかみ堅実な運営を行うことができるでしょう。

 

修繕積立金の残高

修繕積立金の残高

区分所有物件で大規模修繕のタイミングを図る際に、大きなポイントになるのが修繕積立金の残高です。

毎月一定額の積立金を集め、大規模修繕の予算としてプールしてあるのが修繕積立金ですが、これが計画している工事予算に対して不足していると、修繕工事の内容が減らされたり積立金額の値上げが発生したりします。

退去者が多い物件はもちろんのこと、入居者の高齢化で滞納が増えて資金不足に陥る物件も増え、大規模修繕が延期となったり、実質未定となったりする物件もあります。

いずれの場合も建物の劣化や損傷が進むことになるため、退去者の増加と新規入居者の減少を招き、物件価値が下落することにつながります。

修繕積立金の残高は工事の実施においてだけでなく、物件の出口戦略にも大きな影響を与えますので、必ず定期的に確認するようにしてください。

 

物件購入前に注意すべき点

物件購入前に注意すべき点

これから投資物件購入を検討している方向けに、大規模修繕の注意すべきポイントを2つ解説します。

購入にあたって大規模修繕のタイミングは非常に気になるところですが、物件ごとで実際は適切な修繕内容や時期は変わってきます。

以下のことを事前に確認しながら、個別に物件の状態を管理業者に問い合わせをしたり、必要であれば専門業者に状態診断を依頼したりするのも良いでしょうするようにしましょう。

 

事業収支計画に組み入れる

まず購入前に立案する事業収支計画に、大規模修繕の費用を組み入れてみてください。

今回の記事を参考に具体的な金額で計画に入れることで、長期的な視点で収支を捉えることができ、購入に向けての大きな判断材料となります。

たとえば、10年のスパンでどのタイミングで大規模修繕を実行するべき物件か、その費用はどれぐらいを見込んだらいいのか、入居率を高める効果があるのかなどを、時系列に当てはめながら検討してみましょう。

漠然と数字の計算をしているだけでは判断しにくいものなので、中長期的なグラフなどでビジュアル化する手法は投資判断をする上でとてもお勧めです。

 

修繕履歴を確認する

投資物件の購入を検討する際に、重視していただきたいのが修繕履歴です。

修繕履歴とは、これまで物件がどのような修繕工事を行ってきたのか記録してあるもので、通常は管理会社が保管しています。

これをもとに今後どのような修繕を行うべきか、前出の修繕目安時期と見比べながら見通すことができます。

複数項目の修繕が購入直後に必要となるのであれば、その資金確保は早急な課題ですし、あまりに高額なら購入を見直す必要もあるでしょう。

中には建築して以降大規模修繕は全くしないまま、数十年を経過したという物件もありますので、建物状態としては非常に危険で、購入直後に多額の費用が発生する恐れもあります。

そういったリスクを回避するためにも、必ず修繕履歴を確認することをお勧めします。

 

まとめ

まとめ

適切なタイミングの大規模修繕は、その後の修繕費用の低減や資産価値の向上、入居率の維持など、多くの恩恵を投資にもたらします。

しかし大規模修繕のタイミングは、予算はもちろん実際の建物状態や、使われている部材の耐用年数など、複数の要素から判断されるものです。

ご紹介した国土交通省の調査から目安となるタイミングはある程度見通すことができますが、やはり物件ごとの状態に即して最終的に判断すべきです。

今回の記事を参考にご自分で見通しを立てた後は、大規模修繕に詳しい工事業者や専門家のアドバイスなども受けながら、タイミングを判断するようにしましょう。

また、マンションなどの区分所有物件は、大規模修繕のタイミングを個人の判断では決められないため、管理組合での協議進捗や、修繕積立金の残高を自ら確認することが大切です。

建物状態に即したベストな大規模修繕のタイミングを見極め、より高い利回りの物件運営を実現してください。

【記事監修】 山田 博保

株式会社アーキバンク代表取締役/一級建築士
建築業界での経験を活かした不動産コンサルティング及び建築、不動産に関わるWEBメディアを複数運営。Facebookお友達申請大歓迎です。その他、建築や不動産、ビジネスモデル構築に関するコンテンツは公式サイトより。

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