不動産投資でリノベーション物件がなぜ高利回りなのか、その理由を知ることは投資家の方に大きなリターンをもたらす可能性を秘めています。
そこで今回は、リノベーション物件の高利回りの理由と、物件購入の基準、リノベーションを行う上での注意点等についてお伝えします。
利回りの点でより効果の大きいイノベーションを行うために、ぜひお役立てください。
利回り判断時の注意点
利回りを判断する際に注意をして頂きたいのが、表面利回りと実質利回りの違いです。
表面利回りとは「予想される年間家賃収入÷物件価格」で算出したもので、そこには建物の年間経費や購入諸費用が含まれません。
年間経費とは固定資産税や都市計画税、建物のメンテナンス費用や入居者が退出した後のクリーニング費用などで、区分所有のマンションでは修繕積立金なども含みます。
また購入諸費用とは仲介手数料や所有権移転の登記費用などで、年間経費と併せ実際の運営では必ず支出になる費用です。
これらを考慮して「年間家賃収入−年間経費÷物件価格−購入諸費用」を計算したものが実質利回りで、具体的に個別の物件を検討する際はこちらを指針とします。
表面利回りはエリアの相場を見通すときなどは参考にできますが、購入を考える場合は必ずその物件の実質利回りを確認するようにしましょう。
リノベーション物件が高利回りな理由
物件の利回りが高ければ投資額の早期回収が可能になり、当然収支がプラスになることを意味します。
しかしリノベーション物件が高利回りな理由を把握していなければ、そのメリットを十分に活かすことができず、無駄な投資になりかねません。
そこでリノベーションが高利回りな5つの理由を、詳しく解説していきます。
中古物件は安く購入できる
第一の理由は、新築に比べて中古物件は安く購入できることです。
初期投資額が抑えられれば当然ですが回収期間も短く見込めますし、早期に利益を生む物件へと成長してくれます。
逆に新築のように低い利回りで運営するとなると、火災や事故と言った突発的な事態のダメージが大きく、特に長期間の融資を受けているとその確率もぐっと上がってしまうことになります。
しかし中古物件は元から利回りが高い上に、額によっては現金購入もできるため、リスク回避の面でも非常に有利です。
予算に合わせた物件を手頃な価格で購入できる中古物件は、収支の面だけでなくリスクマネジメント上でも、大きなメリットがあると言えるでしょう。
高めの家賃設定が可能
リノベーション物件は需要にマッチすれば、中古物件にもかかわらず高めの家賃設定が可能になります。
よく聞くリフォームは内装や設備を元のきれいな状態に戻す工事を指していますが、低価格で済む反面、周囲の競合物件や新築に負けないよう高い家賃にすることは難しいものです。
しかしリノベーションは単にきれいにするだけではなく、物件に付加価値を加える工事のため、入居者にぜひ住みたいと感じてもらうこともできます。
上手くニーズ以上の価値が提供できれば、競合を意識して低いギリギリの家賃設定にする必要もなく、しかも入居率を高めることもできるのです。
リノベーションは攻めの家賃設定が可能であり、成功すれば高い利回りを生み出す優秀な物件になってくれるでしょう。
空室を回避しやすくなる
ニーズ以上の高い付加価値を加えるリノベーションを行い、攻めの高い家賃設定をすることも一つの方法ですが、家賃を少しプラス程度に抑えて人気を高め、空室を回避するという戦略も可能です。
物件の場所が高めの家賃を支払える入居者が見込めるエリアなら良いのですが、もしそうでないならこの空室回避を狙う方が得策です。
また中古なら低予算で立地条件が良い物件を選べる訳ですし、しかも過去のデータから入居率を見通せますので、安定的な運営に直結する空室回避を実現しやすい条件が揃っています。
付加価値のある部屋を、価値に対して手頃な家賃で提供して満室を狙っていくのも、リノベーション物件では十分有効な戦略でしょう。
不測の修繕費を回避できる
リノベーションをしっかりと行っておけば、設備の破損や配管の水漏れなど、不測の事態での修繕費を回避しやすくなります。
リノベーションの程度にもよりますが、単なるリフォームと違い設備や間取りにまで手を加えることも多く、自然と広範囲に劣化や傷んだ部分を修繕することになります。
その結果、突然キッチンが壊れて多額の修繕費が発生する、などの事態を避けられるため、物件運営の安定に大きく貢献してくれるでしょう。
またリノベーション工事の中で傷んだ部分を一括して修理すれば、壊れるたびに修理を頼むより安く済むというメリットもあります。
見た目だけでなく積極的に設備などにも手を加えるリノベーションであれば、不測の修繕費を回避できることになるでしょう。
減価償却費として経費計上できる
リノベーションの費用は物件の耐用年数の間は、減価償却費として計上できるので、経費扱いになり収益での節税効果が見込めます。
耐用年数や金額の条件はありますが、減価償却の対象として扱われれば、家賃からの利回りを高めてくれることになります。
しかも物件購入費と違いリノベーション費のほとんどを経費にできるメリットまであります。
運営し始めてのしばらくの期間は、突然の修繕費や期待したほど入居者が集まらないなど、予想外のことが起きる可能性があります。
このため物件購入初年度に全額計上して大きな圧縮効果を得るより、例え分割されても複数年に節税できる方が安定運営に役立とも言えます。
小さな部分かもしれませんが、こうしたことの積み重ねも利回りを高める結果につながりますので、経費計上の節税効果もご存知になっておいて下さい。
リノベーション実施の判断基準
リノベーションを行うべき物件かどうかの判断は、しっかりした裏付けを持って行うべきです。
リノベーションは、内装をきれいにするだけのリフォームに比べコストがかかりますし、万一狙いがずれてしまうと入居者に敬遠される恐れもあるからです。
そこでここからは、リノベーションに適した物件か否か判断するための基準をご紹介します。
十分に需要の見込めるエリアか
まず大前提は十分に賃貸物件の種類に応じた需要が見込めるエリアかどうかで、人口はもちろん経済的な活況、周辺の環境などから総合的に判断する必要があります。
特に郊外や地方の物件は、価格が安いため表面利回りは高くなっていますが、需要とのバランスが悪いと空室のリスクは高く、必ずしも安心できる物件運営にはなりません。
不動産投資にまだ不慣れな内は、多少利回りが下がっても、空室リスクの少ない都心の物件がお勧めで、予期せぬ需要の落ち込みが起きにくく安定的な運営を見通せます。
購入価格は上がりますが新築より手が伸ばしやすいですし、何より高めの家賃設定でも一定の需要が見込めます。
まずは需要の確実な大きなエリアとして、都心をターゲットに物件を検討したらいかがでしょうか。
地域の将来的な展望
物件が存在する生活地域の将来的な展望も、購入判断の際はチェックしたいところです。
大きな企業や工場などの従業員をターゲットとするなら、その企業や工場の動向をしっかり調査すべきで、現代では経営の悪化やスリム化で撤退することが珍しくないからです。
またリストラなどが起きれば大きく需要が落ち込むことは明らかで、ご自身で地方紙やプレスリリースなどに目を通すようにしましょう。
また大学の生徒を見込んだ物件でも、少子化の波で地方校舎は縮小の流れがありますから、やはりしっかりと情報収集を行い慎重に判断すべきです。
くれぐれも仲介業者の情報だけで判断することなく、積極的にリサーチを行った上で地域の将来的な展望を見通すようにしましょう。
リノベ物件の需要があるか
個性的なリノベーションは大きな成果をもたらす可能性がありますが、そのリノベーションの需要があるのかもしっかりと見極めるべきです。
リノベーションはその個性が他物件との差別化につながる訳ですが、その個性的な部屋の需要がなければ全く意味のない投資になってしまうからです。
特にリノベーションが良いのか、それとも単なるリフォームで良いのかは大きな分かれ目で、予算はもちろんその後のアピールの方向も全く違ってくるので、そのどちらが適したエリアなのかはしっかりとリサーチすべきです。
リノベーションは高い需要が見込める反面、そのニーズから外れてしまえば普通の物件以上に入居率が落ちてしまう恐れがあります。
しっかりとその需要があるのかを判断するようにしましょう。
競合状況
物件のある地域の競合状況も、購入を判断する上で大きな基準となります。
例え個性的な物件へのニーズが高く、一定の家賃を支払える層が多い地域だとしても、既にそれを満たす物件が豊富に存在すれば、投資を回収するまでの時間がかかってしまいます。
逆に需要は見込めるのにそのニーズを満たすような物件が少なければ、高い入居率と攻めの家賃設定の両輪が機能し、早い時期に収支がプラスに転換するはずです。
しっかりと競合状況をリサーチし、リノベーション物件にとってのブルーオーシャンを探すことが、投資成功への近道とも言えるのではないでしょうか。
周辺の空室率
物件周辺の競合における空室率を確かめるのも、リノベーションを成功させるためには大切です。
とてもベーシックなポイントなので仲介業者からの情報や、ネットでさらっと見るだけで済ませてしまう方もいるかもしれませんが、それは非常に危険です。
その数字は数年前のものかもしれませんし、特に優良な物件の入居率かもしれないからです。
そして特に確認して頂きたいのは、同じ地域にあるリノベーション物件の入居率です。
ただしそのような物件は表面的に話しを聞いたり、ネットで調べたりするだけではわかりにくいため、その地域の複数の仲介業者に問い合わせる必要があります。
しかし競合する物件の入居率を確かめることができれば、物件購入の決定的な判断材料になり得るため、ぜひ情報収集に動くことをお勧めします。
老朽化や損傷が激しくないか
建物として確かめておきたいのが、物件の老朽化や損傷が激しくないかです。
特に年数が経った手頃な価格の物件は、購入直後に多くの修繕費がかかってしまった、という話しをよく聞きます。
これは見方を変えれば、ちょうど修繕が必要なタイミングで売りに出されていた、とも考えられます。
できれば専門家の意見などを聞きながら購入判断すべきなのですが、初期段階であればまず水回り設備と外装の状態を確認しましょう。
水回りとは主に台所や浴室、トイレ、洗面の4点で、これらの修理や入れ替え費用は高額になる恐れがあります。
また外装は屋根や外壁のことで、修繕にはさらに費用がかかることになりますし、傷んだままだと外観を悪くして入居率に悪影響を与えます。
出来る限り現状を生で確認することがお勧めですが、難しければ写真を豊富に入手し、事前に修繕の見積もりを取るようにしましょう。
実効性のあるリノベーションの条件
リノベーションを行う上で、効果を高めるポイントをご紹介します。
より積極的に建物に手を加えるのがリノベーションですが、単に雰囲気を変えるだけでは大きな収益は見込めません。
ここではより実効性を高めるための、2つの基本的なポイントをご紹介します。
ターゲットを絞る
投資物件でのリノベーションの最重要ポイントは、ターゲットを明確に想定し、そこに絞ったリノベーションを行うことです。
例えばスタイリッシュな内装への工事を行うとしても、単身者なのかファミリー層なのかは当然として、単身者向けなら男性なのか女性なのか、年齢や職種、できれば趣味なども想定します。
こうすることで範囲は狭いかもしれませんが、入居者の心に深く訴える物件にすることができるのです。
そして「住んでみたい」という欲求を掻き立てられれば、高めの家賃でも競合することなく入居者を獲得でき、しかも長く住んでもらうことも可能になります。
しかし幅広い人に好まれることを狙った無難なリノベーションでは実現できないことであり、それであれば見た目を整える安価なリフォームに方向転換した方が安全です。
この明確なターゲット設定こそが、投資物件をリノベーションで高い利回りに実現するための、最も大切な戦略と言えるでしょう。
内装・間取り・設備をバランス良く
リノベーションと言うと内装を劇的に変化させることをイメージする方も多いのですが、間取りや設備をバランス良く改修することも大切です。
間取りが古く狭い部屋が多い物件では、今どきの開放的な間取り需要に合わないため、可能な範囲で壁を取り払うようなリノベーションも行うべきでしょう。
また毎日使うキッチンや浴室があまりに傷んでいたり、古い形で使いにくかったりすれば、できるだけ直しておくようにしましょう。
あくまでも生活をする場所ですから、間取りや設備の使い勝手が悪ければ、いくら内装が個性的でも入居希望者に選んでもらえません。
投資物件へのリノベーションは内装と間取り、設備をバランス良く行うようにしましょう。
リノベーション後の運用ポイント
リノベーションは工事をした後も定期的に手を加え、事前に計画を立てておくことが大切で、そのままにしていては高利回りを維持できません。
そこで最後に、運用していく中での物件に実施すべき施策とポイントをご紹介します。
適切なメンテナンスを行う
いくらリノベーションをしたとは言え、建物自体は築年数が経っているわけですから、見えない部分に痛みがあるのは当然です。
そこで適切な時期に点検を行い、必要なメンテナンスをするようにしましょう。
例えば給排水管の清掃や入れ替え、外装防水の再施工などは、老朽化がひどくなる前に対策を打てばその修繕費だけで済みますが、万一の事故が発生すればその被害も補償しなければなりません。
また定期的なメンテナンスを行ったことが履歴に残れば、売却時の価格にも好影響を与えます。
リノベーションをして入居者が順調に集まり収益が発生してきたら、ぜひその費用を確保し適切なメンテナンスをするようにして下さい。
定期的にアップデートする
リノベーションからしばらくの期間が経過すると、目新しさが低下して空室が発生することは珍しくありません。
そこで様々な要因をチェックし、物件をアップデートすることをお勧めします。
退去者の原因はリノベーションの鮮度だけでなく、周囲の環境変化の可能性もあり、例えば企業が撤退をしたり新たな競合物件が現れたりすれば、入居者が動いていくのは当然です。
そこで新たに内装を変えたり、セキュリティのような人気の設備を加えたりすれば、価値を回復させることは十分可能です。
またデザインの流行など時代の変化もありますから、定期的に工事業者などへコーディネートの相談をしてみるのも良いでしょう。
リノベーションは一度行えば終わりというものではりませんから、ぜひ定期的なアップデートの実施をお勧めします。
まとめ
不動産投資においてリノベーションは、利回りを高める上で大変有効な戦略です。
物件は安く購入できますし、ニーズに合った物件に変身させられれば、高い家賃設定をしながらも空室を回避できる可能性があるからです。
そのためにはリノベーション物件の需要があるか十分にリサーチし、ターゲットを明確にした実効性のあるリノベーションにする必要があります。
もちろん購入直後に工事をするだけでなく、運営しながら適切な時期にメンテナンスを行い、さらに定期的に物件をアップデートすることも大切です。
今回ご紹介したポイントを参考に、ぜひ高利回りを導くリノベーションを行ってみて下さい。
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