不動産投資において中古物件をリノベーションする事は、早期の投資回収を実現し高収益物件に変身させる大変お勧めの方法です。
当然コストは単なる手直しよりかかるわけですが、その付加価値がニーズにマッチすれば物件運営に大きなメリットをもたらしてくれます。
そこで今回はそのリノベーションのメリットと適した物件選択、そして依頼する業者の選び方まで徹底的に解説したいと思います。
リノベーションとリフォームの違い
中古の物件に手を加える工事としてはリノベーションとリフォームがありますが、この2つには大きな違いがあります。
リフォームとは劣化した内装や設備を、新築時の状態に近づける修復工事を意味しています。
一方リノベーションは単に見た目や設備を直すだけでなく、積極的に手を加えて個性的な内装に変身させたり、設備を現代的なものに入れ替えたり、あるいは間取りを大きく変身させたりする工事です。
照明や壁紙をカフェ風にしたり、壁を取り払い広く開放的なリビングにしたりと、その物件が本来持っていた部分だけでなく、付加価値を加えるための積極的な工事なのです。
仲介業者や工事業者に希望を伝える時や、あるいは入居者を募るアピールの際にも、このリフォームとリノベーションをしっかりと使い分けるようにしましょう。
拡大し続ける中古市場と物件メリット
不動産市場において中古物件の割合は拡大の一歩を辿っており、2019年の首都圏中古マンションの成約件数は38,109件であり、新築マンション成約数19,546件を大きく上回っています。
また同年の中古戸建て成約数は13,037件となっており、新築戸建て住宅の5,872件と比べてもやはり中古が大きなウェイトを占めています。
参照元
公益財団法人東日本不動産流通機構
「首都圏不動産流通市場の動向」
http://www.reins.or.jp/pdf/trend/sf/sf_2019.pdf
㈱不動産経済研究所
「首都圏マンション市場動向」
https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/420/sf2020.pdf
これは首都圏では土地価格が高額で新築物件を購入するには大きな資金力が必要となり、多くの人にとって現実的な選択ではないことを意味しており、個人の投資家の方にも同様のことが言えるでしょう。
そこでここでは投資視点での中古物件の主なメリットを、改めて知って頂きたいと思います。
格安で物件購入が可能
まず1つ目のメリットは当然ですが格安に物件購入が可能であることです。
新築となると数千万円、あるいは億近い費用が大きなネックとなってしまいますが、中古物件なら1000万円代もざらで、手が届く価格で購入することができます。
自己資金によっては融資を使わずに購入することも可能で、リスクを大きく下げられるのが魅力です。
結果的には投資額の回収から収益をプラスにするまでの期間が非常に短くて済むため、投資としては非常に優秀と言えるでしょう。
新築は利回りが急落するリスクあり
新築は新築プレミアムと言う言葉があるように、建築から数年は入居者にとって魅力が大きく、満室になりやすい利点があります。
一方でわずかでも年数が経ってからの入居者にとっては新しさの魅力は少なく、次第に空室に悩まされることになります。
また購入価格が高額故に投資額が回収できるまでが長く、その間に水害や火災などが発生すれば、ただでさえ低い利回りが一気に急落する恐れがあるのです。
その点で中古物件は投資回収が速く、収益を生むまでが短いため、不測の事態が発生してもダメージは新築に比べ少ないと言えます。
この長期的な利回り急落のリスクが抑えられるのも、投資面での中古物件の有利な点なのです。
好立地の物件が購入しやすい
賃貸投資物件で利益を生むために入居率は非常に大きなファクターですが、高い状態を維持するには物件の立地が非常に重要となります。
しかしそういった物件を新築で購入するとなると非常に高額な初期投資が必要となり、特に融資を受ける場合はかなりのリスクを負うことになります。
しかし中古物件であれば好立地な物件を手頃な価格で購入することができます。
特にマンションの場合は立地重視で建築されているため、多少年数が経っていても高い入居率を維持する物件も少なくありません。
この安定的な物件運営の最重要課題である好立地の物件を、手ごろな価格で購入できるのも中古物件の大きなメリットと言えるでしょう。
リノベーションで高利回り化できる理由
ただいくら好立地の物件を購入したとしても、経年劣化が進んで傷んだ状態なら利回りは低いままです。
そこで高い収益を生み出すために、積極的にリノベーションを施すべき理由を解説します。
ニーズを狙い撃つ部屋づくりで差別化
物件の立地が良くても築年数が20年30年と物件要項に記されているだけなら、入居者は内見すら躊躇してしまうでしょう。
しかし一言「リノベーション済み」と言う文言が入ることで、一気に物件への関心が高まることになります。
さらに単に見た目をきれいに手直しするだけではなく、物件エリアの入居者ニーズをピンポイントで狙い撃つような、付加価値を持ったリノベーションを行うことで、他の物件との決定的な差別化をすることができるのです。
例えば単身の若い世代の入居者が多いようであれば、スタイリッシュで個性的な内装に変えてあげることで、築年数を超えた魅力を訴えることが可能になります。
高い家賃設定で高収益が期待できる
付加価値を高めるリノベーションは費用も必要になるため、慎重に考えてしまうオーナーの方もいらっしゃるでしょう。
しかしニーズをしっかり捉えた付加価値の高い物件であれば、より強気の家賃設定が可能になります。
きれいに内装を修復しただけでは、ある程度支払い能力のある入居者は、新築や築浅物件に流れてしまいます。
ただしそういった方々ほど、個性的であったりニーズを満たしてくれたりする物件であれば、単なる中古物件以上の価値を見出し、対価を支払ってくれます。
結果的に十分なコストをかけたリノベーションの方が、高い収益をもたらしてくれると言えるでしょう。
早期に投資回収し収益化が可能
好立地とニーズに応えるリノベーションという両輪がしかり機能すれば、投資回収と収益化が早期に可能となり、高利回りの好物件へと変身をしてくれます。
このスピード感こそが様々なリスクが想定される不動産投資においては、見た目の利回り以上に重要です。
最小限の投資で早期に大きな利益を生むことができる中古物件とリノベーションのペアリングは、多くの一般投資家の方にとって堅実なリターンが見込める優秀な不動産投資方法と言えるでしょう。
リノベーションを成功させるポイント
不動産投資でリノベーションを成功させるには、漫然と手を加えるだけではいけません。
明確なビジョンと予算投入のポイント絞った上で行うことが必要です。
そこで特に賃貸物件に行うべきリノベーションの、3つの最重要ポイントをご紹介します。
ターゲットを絞る
最も避けなければいけないリノベーションは、幅広く誰にでも好かれようとする凡庸な内装や設備、間取りにしてしまうことです。
誰にでも合うものは、誰にも強いインパクトを与える事はできないため、結局より安い中古や新築物件に流れてしまうことになります。
すると入居率が思ったよりも上がらず家賃を下げる結果となり、結局は平凡な中古物件と成り下がってしまいます。
そこでターゲットとする入居者層を明確に想定し、そこへピンポイントで魅力的に映るリノベーションを行うべきです。
例えば単身女性に絞ったキュートな内装にしてみたり、都会的かつ落ち着いた雰囲気のジャパニーズモダンにして、こだわりの強い高めの年齢層を狙ったりなどです。
この明確なターゲット設定は、リノベーションをする上での必須条件と言えるでしょう。
基本性能をしっかりとメンテナンス
いくらニーズを狙い打つと言っても、内装や間取りにばかり資金を投入していてはいけません。
建築物は目に見えない防水や配管、安全性を確保する手すりなど、基本性能が非常に大切であり、劣化具合を十分に確認して、必要であれば先手を打って修理をするべきでしょう。
突然の水漏れや入居者の怪我といったトラブルで予想外の出費が頻繁に発生すれば、安定的な物件運営はできません。
またそれらの補修履歴が残れば、物件売却の時に価格面で非常に有利に働きます。
いくらリノベーションをしても、もともとは年数が経過した劣化している物件であるということを忘れないようにしましょう。
マンションの方が予算を見通しやすい
リノベーションを行う上では、戸建てよりもマンションの方が予算を見通ししやすいと言う特徴があります。
戸建てでは床下のシロアリ被害や雨漏りによる屋根裏の損傷など、初期の修理費用がかかることが多いのですが、マンションは外部に接している面が少ないため、比較的そのような修理が少ない傾向があります。
もちろんマンションだからといって全て安心してはいけませんが、購入後にリノベーションに着手したら予想外の被害が発見され、補修費用が膨らんでしまうというケースは少なめです。
逆に言えば戸建てはそれらの損傷具合を十分に確認した上で購入するか、ある程度予算にゆとりを持たせておくことが必要と言えるでしょう。
リノベーションにマッチする物件購入のポイント
中古市場では多くの物件情報が溢れているため、物件選定は非常に迷うところです。
しかし特にリノベーションをする場合はそれを前提とした選び方が必要で、その成否で費用や収益化が大きく異なります。
実際にどのような物件がリノベーションに適しているか、と言う点を詳しく解説します。
需要があるエリアか十分にリサーチ
投資物件を検討する上では、リノベーションをすることで惹きつけられる入居者需要があるエリアなのか、を十分に見極めなければなりません。
例えばコストをかけてデザイナーズリノベーションをしても、若い世代の需要がなければ意味がない、などが考えられます。
そもそも賃貸需要がないエリアであれば資金投入自体が無駄になるリスクがあり、特に人口が減少し続けているような地方都市の物件は要注意です。
購入を検討する物件の過去の入居率だけではなく、周辺の同様な物件の入居率などもチェックし、掘り起こせる需要があるかどうかを冷静に判断するようにしましょう。
建物状態をしっかり見極める
建物の状態をしっかりと見極めることも、リノベーションを行う物件を検討する際は重要です。
劣化が激しく内装や設備の状態が悪ければ高額なリノベーションとなり、投資回収するまでの時間がかかることになってしまいます。
さらに建物は壁の中や床下、天井裏など目に見えない部分も痛んでいる可能性があり、しかもそういう部分の補修こそ高額修理になりがちです。
立地や間取りだけでなく建物全体の劣化や損傷の具合をしっかりと見極め、かけるべき予算を綿密に算出しておくことが重要でしょう。
先々の維持費をしっかりと見通す
中古物件は購入直後の手直しだけでなく、その後の維持費も新築や築浅物件に比べかかることになります。
特に外回りの防水関係や屋根、外壁などは現状に大きな損傷がなくても、定期的なメンテナンスが建物の機能維持のため必要になります。
また防火設備なども点検や報告が法令で定められた建物があり、入れ替えなども含め費用を見込んでおかなければなりません。
購入直後だけでなく先々の維持費をあらかじめ専門業者などに算出してもらい、運営の計画に盛り込んで見通しておくことが重要になります。
リノベーションを依頼する業者への注意
リノベーションは依頼する業者によって出来上がりの差が大きく、さらには費用や後々のメンテナンスも違ってきます。
せっかく立地の良い物件を手ごろな価格で手に入れても、本来の目的であるリノベーションで失敗してしまっては意味がありません。
そこで最後にリノベーションを依頼すべき専門業者の見分け方をお伝えします。
仲介会社経由の業者以外も検討する
物件購入の仲介業者に紹介してもらう専門業者だけでなく、他の業者も必ず検討するようにしましょう。
仲介業者と提携している工事業者は、紹介で仕事が来るため高めの金額設定にしてあることが多く、中には十分な提案をせずおざなりのリノベーションで済まそうとする業者も存在します。
もちろんそうではない業者もあるわけですが、慣れない方は比較をしないと良し悪しは分かりません。
失敗を防ぐためにも複数の業者をネットで探したり、経験のある他の投資家の方から紹介してもらったりして、しっかりと価格や提案を比べた上で依頼するようにしましょう。
実績が十分な業者を選ぶ
リノベーションは単なる元の状態に戻す工事ではなく、付加価値を加える工事です。
そのためにも依頼主に言われるがままではなく、ニーズに合ったプランを数多く提案してくれる、実績豊富な業者に任せるべきです。
リノベーションはまだ見えない工事を任せることになるため、経験の浅い方にとっては仕上がりがイメージしにくいものです。
しかし実績が豊富な業者であれば、それをイメージできるように伝えてくれることでしょう。
投じた資金が無駄にならないよう、成功に導いてくれる良きパートナーとなる業者を選びたいものです。
アフターケアがしっかりしているか確認
建築業者の中には、工事が終わってしまうとその後のアフターケアは儲けにならないと、後回しにしてしまう者が存在します。
しかし工事が終わった後に塗装が乾燥して色違いが出たり、ドアが湿気の変化できしみが出たりと、対応してもらいたい事は必ず発生します。
そのため工事が終わった後も小さな手直しを快く対応してくれる、アフターケアのしっかりした業者を選ぶようにしましょう。
例えば信頼できる所からの紹介や会社の所在がはっきりしているなど、何かあった時は連絡が確実に取れる相手を選ぶと安心です。
せっかくリノベーションをしても早々に入居者からクレームが入ることがないよう、アフターケアがしっかりした業者を選びたいものです。
まとめ
中古物件は好立地のものが手頃に購入できるという、資金のまだ少ない個人投資家の方にとって大きなメリットがあります。
しかもその物件にニーズを絞った的確なリノベーションを行えば、空室を回避し攻めの価格設定で早期に収益化することも可能となります。
今回ご紹介した物件選定の注意点とリノベーションのポイントを生かし、中古物件への投資をぜひ成功させて下さい。
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